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「ダイヤモンド」vs「東洋経済」! 経済誌双璧比べ読み(7月第3週)

名門コンサル・マッキンゼーが直面する壁…なぜボスコンに大きくリードされたのか?

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「Thinkstock」より
 「週刊東洋経済」(東洋経済新報社/7月20日号)は、「マッキンゼー学校」という特集を組んでいる。

 「意思決定を行う経営者に対して、切れ味鋭い助言を行うコンサルティングファーム。このブレーン集団の世界には、明確な序列がある。自他共に2大ファームと認めるのが、マッキンゼー・アンド・カンパニー(マッキンゼー)とボストンコンサルティンググループ(BCG)。なかでも『ザ・ファーム』と呼ばれ、別格なのがマッキンゼーである」

 経営戦略を専門に行うコンサルティングファームの中で、最大規模のマッキンゼーに迫った特集だ。

 そもそも、マッキンゼーは、シカゴ大学の会計学教授だったジェームズ・マッキンゼー氏が、1926年に会計や財務に力点を置いたコンサルティングファームを設立し、早世した同氏の遺志を継ぎ、33年に入社した弁護士出身のマービン・バウワー氏が、大企業の戦略策定に比重を置くスタイルを確立したものだ。

 「今では、50カ国以上に約100の事務所を構える。世界には1万7000人以上の社員(うち9000人以上がコンサルタント)がいる。米『フォーブス』誌の調査によると、年間売上高は75億ドルで全米の非上場企業としては、47番目の売り上げを誇る」という。

 大きな規模になっても、「ワンファーム」としての一体運営が維持されている。「所属コンサルタントは国籍に関係なく、世界中のプロジェクトにかかわる。業種別(エネルギー、ヘルスケアなど)、機能別(コーポレートファイナンス、組織など)のグループに分かれ、グローバルレベルでのベストプラクティス共有に努めている」

 マッキンゼーの代名詞ともいえるのが、客観的なデータに基づくファクト主義。20代の若者でも価値を発揮できる「ファクト・ベースト・コンサルティング」を生み出した。20代のうちに、社員はコンサルティングの最新スキルが叩き込まれるのだ。

 新卒の年収は600万円前後だが、昇格すると1300万円前後に跳ね上がる。ただし、成績が不振となれば、「アップ・オア・アウト(昇格できない者は去れ)」とされ、社内にとどまれる雰囲気ではない。

 同社が、最近脚光を浴びているのは、そのコンサルの手法というよりも、リーダーシップのある人材を育成し、その人材が政財界で幅広く活躍していることだ。

 「マッキンゼー・マフィア」との異名も持つ2万7000人にも及ぶアルムナイ(卒業生)のネットワークがあり、「そのアルムナイからは、英国のウィリアム・ヘイグ外相、日本の茂木敏充・経済産業相のようなパワーエリートが輩出されている。IBMを立て直し、2003~08年にカーライル・グループ会長を務めたルー・ガースナー氏も卒業生だ」。日本では、元日本支社長にして著名文化人の大前研一氏、DeNA共同創業者の南場智子氏、経済評論家の勝間和代氏や、最近では、ミクシィ社長の朝倉祐介氏、オイシックス社長の高島宏平氏……多くの著名人を輩出しているのだ。

 最近の目立った傾向として、若手は入社後数年で辞めてしまいがちだ。「卒業生の活躍は人材育成に成功したことの証し。卒業生の成功はマッキンゼーの成功そのものだ」と特集内でジョルジュ・デヴォー日本支社長が語っているが、「アップ・アンド・アウト(昇格して去る)が増えている」らしく、優秀な人が辞める傾向が強くなっている。「リーマンショック以降、厳しくなっている。外に出たほうが活躍の機会があると考える人は多い」ということのようだ。

 つまり、社内で活躍することを目指さず、外に出てマッキンゼー学校で学んだスキルを発揮し、政財界で活躍しているということだ。

 私もマッキンゼー出身者に取材をしたことがあるが、実は中にいるよりも、外に出た後のほうが儲かるのだという。企業にとって、多額の顧問料を払う必要があるため、マッキンゼーにコンサルを依頼するのは敷居が高いが、「元マッキンゼー」のコンサルタントであれば、マッキンゼー並みの最新の分析にもかかわらず、顧問料は安く済む。安い顧問料といっても、独立したコンサルタントにとっては十分な金額であり、マッキンゼー社員にとっては独立のインセンティブが確実にある。このため「元マッキンゼー」という肩書が目立ち、「マッキンゼー学校」が注目されているということのようだ。日本で「元マッキンゼー」というブランドが強い限り、この傾向は続くだろう。

 特集では迫れていないものの、マッキンゼーが把握すべきイシューはどこにあるのか。イシューとは、「今、この局面で解決をしなければいけない本質的課題」のことで、このイシューの設定および実行が、マッキンゼーの社員に求めるスキルなのだ。

 そのイシューをズバリと言い当てているのが、冨山和彦経営共創基盤CEOだ。特集記事「インタビュー BCGとは何が違うのか?」の中で、BCG出身の冨山氏は、BCGはリベラルで、マッキンゼーは「もともと原理原則の縛りがキツい」と比較したうえで、マッキンゼーが直面している壁を解説している。