日銀総裁、米関税「急速に不確実性高まる」=国内経済・物価は想定通り―政策金利、据え置き

日銀は19日の金融政策決定会合で、政策金利である短期金利の誘導目標を現行の「0.5%程度」に据え置いた。植田和男総裁は会合後の記者会見で、トランプ米政権の高関税政策について「海外発の不確実性はここにきて急速に高まっている」と警戒感を表明。今後の利上げに当たっては「おおむねオントラック(想定通り)」と評価した国内の経済・物価動向も含めて「両方の側面を的確に見極めて判断したい」と強調した。
トランプ政権は4月以降、貿易相手国と同水準の関税を課す「相互関税」や自動車への追加関税を導入する見通し。植田氏は「4月初めにかけて(関税政策の詳細が)もう少し明らかになった時点で(経済・物価の)見通しを見直したい」と説明。米国では既に消費者心理の悪化を示す指標も出始めており、「どの程度深刻化するか注視する」とした。
連合が今月14日発表した今春闘の第1回集計結果によると、平均賃上げ率は5.46%と前年同時点の5.28%を上回った。植田氏は集計結果が「オントラックの中でもやや強め」とし、賃金と物価がともに上がっていく「好循環」実現に手応えを示した。
今後の政策運営については「経済・物価見通しが実現していけば、金融緩和の度合いを調整していく」と利上げ継続の方針を改めて堅持。利上げのペースは「今後のデータ・情報次第」としつつ、コメなどの高騰が基調的な物価上昇率の上振れにつながれば「緩和度合いの調整を早める」と述べた。
最近の長期金利の上昇に関しては「急激に金利が急上昇する例外的なケースでは機動的なオペ(公開市場操作)をやる」としつつ、「現状はそうした状況ではない」と指摘した。
会合の声明文は、リスク要因に「各国の通商政策などの動きやその影響を受けた海外の経済・物価動向」を挙げ、「不確実性は引き続き高い」とした。国内物価の先行きについては「(2026年度までの)見通し期間後半には『物価安定の目標』とおおむね整合的な水準で推移する」との見方を維持した。(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2025/03/19-20:25)