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「貯蓄から投資」を後押し=イデコ見直し、「改悪」との声も―ニュースを探るQ&A

2025.03.15 2025.03.15 20:48 経済
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退職金受け取り時の控除と税額の違い

 政府は2025年度税制改正で、老後の資産形成を目的に非課税で掛け金を運用する個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)について、税制上の環境整備を進める。「貯蓄から投資へ」の方針を加速するため、掛け金の限度額を引き上げる。ただ税優遇が厳格化される部分があり「改悪」との声もある。今国会への提出が焦点となっている年金制度改革関連法案の成立が、引き上げの前提だ。

―イデコの変更点は。

 掛け金の限度額が引き上げられる。イデコの掛け金はすべて控除の対象のため、税優遇は拡大する。公的年金を補う私的年金の利用を後押しし、老後の家計を支援する狙いがある。

―上限はいくらになるのか。

 企業年金がある会社員は、2万円までだったイデコ単体の上限が廃止され、イデコと企業型の掛け金合計額は現在の月5.5万円から6.2万円にアップする。自営業者らのイデコと国民年金基金の掛け金合計額も6.8万円から、7.5万円となる。企業年金がない会社員は2.3万円から6.2万円と大幅アップだ。

―優遇拡大だけなのか。

 運用していた資産を現金化して一括で「一時金」を先に受け取り、退職金を翌年以降に受給する場合の税優遇は厳格化する。これまでは退職金を受け取るまでの期間が5年以上であれば、一時金や退職金を受け取る際に生じる税負担を最大限軽減することができた。しかし、今回の税制改正で期間10年以上を税優遇の条件に改めた。26年1月以降の受け取りが対象だ。

―どれくらい負担が増すのか。

 現行制度では、10年加入していたイデコの一時金を60歳で360万円、65歳で勤続35年の会社から退職金1800万円受け取る場合、5年間が経過しているため、その都度、控除が最大限に適用され税負担は生じない。一方、厳格化による影響を試算すると、イデコの加入期間と勤続期間の重複分は控除が減額され、退職金受給時には約23万円の税負担が必要になる。

―見直しの影響は。

 現時点では、企業の定年は60歳が主流。このため、60歳以上が対象のイデコの受け取りから5年経過して退職金を受給する人は少数とみられる。ただ優遇を見込んでいた人の税負担は増すため、SNSでは「イデコ改悪」などと反発の声が上がっている。定年時期の後ろ倒しなど働き方は多様化しており、受け取り方によって控除額が増減する仕組みについての正しい理解が必要だ。(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2025/03/14-17:11)

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