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希少糖、商品実用化拡大で高まるコンビニ、食品メーカーの商機…肥満や糖尿病抑制効果も

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甘味料「レアシュガースウィート」(松谷化学工業)
ダイエットしたいが、甘いものも食べたい」

 そんな贅沢な悩みを解消する甘味料「レアシュガースウィート」(松谷化学工業)が、8月6日に発売された。この製品に含まれる希少糖「D-プシコース」はカロリーがゼロで甘さは砂糖の7割。抗肥満作用、血糖値上昇抑制、さらに動脈硬化抑制などアンチエイジング効果まであるという。

 松谷化学の大隈一裕研究所所長はいう。

「1度の肥満(BMI25以上30未満)の健常者34人を対象に『レアシュガースウィート』30グラムを1日1回、12週間摂取してもらった結果、体重が1.8kg、BMIが0.7kg/平方メートル、体脂肪が1.7%減少しました。食欲を抑える効果などもあります」

 メタボに悩む中高年やダイエットに苦しむ若い女性、糖尿病患者などにとっては、願ってもない話だ。

 希少糖は自然界にはほとんど存在しない糖だが、香川大学農学部の何森健教授が1990年初頭、果糖に酵素を加え、「D-プシコース」に変換(異性化)することに成功した。「D-プシコース」の生成に成功したのは世界でも初めてのことだ。何森教授の話をたまたまテレビで見ていた松谷化学の会長、松谷英次郎氏が実用化に向けて動きだし、香川県、香川大学、松谷化学の産学官連携がスタートした。

 ちなみに松谷化学はトクホの世界で有名な会社で、肥満を抑える「難消化性デキストリン」はトクホの市場の3割を占めるといい、同成分を含んだ商品の累計販売本数が2億本を突破し、「トクホ炭酸」カテゴリー内でシェア1位(販売金額ベース)となった。1億本の大ヒットを記録したキリンビバレッジの「キリンメッツコーラ」や、ペプシの「ペプシスペシャル」などヒット商品を次々に生み出している。カロリーゼロのビールのほとんどにも、「難消化性デキストリン」が使われているという。

●企業からの引き合いも増加

 そんな松谷化学は「D-プシコース」を実用化するために、12年8月に香川県宇多津町・番の州臨海工業団地に工場建設を開始。今年7月に竣工し、本格的な生産を開始した。生産量は年間1万2000トン。

「レアシュガースウィートは食品用途における機能でも、卵の卵臭の軽減やフルーツジャム、果汁飲料や焼き鳥のたれなどの風味の増強、キャラメルやカスタードクリームのコク味付け、煮魚やおでんに短時間で煮込み感を出す、酢カドをとる、などの効果もあります。料理に使うことで、いろいろ味に深みを付けることができると思います」(前出の大隈所長)

 家庭料理の調味料だけではない。企業からも多くの引き合いが来ているという。

「希少糖ソーダ」(伊藤園)
 すでに伊藤園が香川県で「レアシュガースウィート」入りの「希少糖ソーダ」を同県内で発売。コンビニエンスストアや大手飲料メーカーから、商品開発の話が来ているという。

「今後はD-プシコースの純品をつくっていきます。さらにD-プシコースだけでなく、がんなどにも効果が期待されているD-アロースなどの実用化に向けて、力を入れていきたい」(同)

 D-アロースは抗がん作用をはじめ、アンチエイジングのための抗酸化作用や血圧上昇抑制など、さまざまな可能性を秘めている。食品以外にも、医薬品や無害の農薬の開発でも、大きな期待が寄せられている。希少糖の可能性は、まだまだ広がっている。
(文=松崎隆司/経済ジャーナリスト)