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注目高まる木質バイオマス発電、相次ぐ企業参入の背景〜安定供給、地方の雇用拡大期待も

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2015年稼働予定の昭和シェル石油・木質バイオマス発電所のイメージ図(「同社HP」より)
 太陽光発電、風力発電といった再生可能エネルギーの中で、木質バイオマス発電への注目度が高まっている。

 木質バイオマス発電とは、建設廃材などを燃料として発電する方式。これまでは採算などで難点があり、普及してこなかった。しかし、2012年7月に始まった再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を機に、導入が相次いでいる。

 ポイントは間伐材など未利用材が使えるようになったことだ。これまで森林の保全目的で伐採されていた間伐材は、運搬にも費用がかかることで、放置されるケースが多かった。固定価格買い取り制度では、燃料が未利用材の場合、1kWh当たり32円という価格が設定された。これで採算にメドが立ったという。ちなみに、リサイクル材は同13円、一般木材が同24円となっている。リサイクル材は建設の廃材などで、従来木質バイオマス発電を行うのは、廃棄物処理業者などに限定されていた経緯がある。

 林野庁によると、年間に発生する未利用材は2000万立方メートルで、建設発生木材(廃材)約1000万立方メートルや残材約850万立方メートルに比べて多い。残材とは、製材工場などから出る端材などである。建設廃材や残材がほぼすべて再利用されているのに対し、未利用間伐材はほとんどが未利用のままだったのである。

 未利用材が高めの価格設定となったことで、お金をかけて間伐材を発電所まで運んでも採算が合うようになってきている。日本では林業の衰退が深刻だが、雇用を生み出す効果もある。また、森林のある地域にとっては、雇用による住民の増加、消費拡大、税収の確保なども期待できる。発電業者としても、同じ再生可能エネルギーである太陽光や風力発電が天候に左右されるのに比べ、安定的な電力供給が可能になる。一石二鳥ならぬ、一石三鳥、四鳥の効果が期待できるのである。

 森林を構成する個々の樹木は、光合成によって大気中の二酸化炭素(CO2)の吸収・固定を行っている。森林から生産される木材をエネルギーとして燃やすとCO2を発生するが、このCO2は、樹木の伐採後に森林が更新されれば、その成長の過程で再び樹木に吸収される。すなわち、木材のエネルギー利用は、大気中のCO2濃度に影響を与えないカーボンニュートラルな特性を有している。化石燃料の代わりに木材を利用すれば、CO2の抑制が可能で、地球温暖化防止に貢献することができる。

●さまざまな業界から参入相次ぐ

 未利用材を使った木質バイオマス発電所で現在稼働しているのは福島県会津若松市の施設1 カ所のみだが、王子製紙が2015年にかけて3カ所の稼働を見込み、住友林業や中越パルプ、日本製紙なども15年には稼働する見通しにある。木を材料とするため、広大な森林を保有する紙パルプ業界が積極的。住友林業も森林経営で知られる。

 このほか、今年8月には昭和シェル石油が、14年5月の着工、15年12月の稼働を目指して木質バイオマスを燃料とする火力発電所の建設を発表した。場所は神奈川県にある、同社の旧京浜製油所の工場跡地。発電量は一般家庭約8万3000世帯に相当する、約30万MWhの予定だ。

 木質バイオマス発電を設計から施工まで一貫して行うのが、ボイラー大手のタクマ。また、環境ベンチャーのファーストエスコは早くから木質バイオマス発電に参入し、今後はコンサルティングも行っていく方針である。建設関連産業廃棄物の中間処理を手がけるタケエイは、先ごろ公募増資による資金調達を発表したが、この資金の一部を木質バイオマス発電に振り向ける方針だ。同発電は、市場規模が急速に膨らむことが確実視されている。

 課題は、木質バイオマス発電が一段と普及した場合の、未利用材など燃料の安定調達だ。水分を多く含んでいる未利用材は、燃焼効率を上げるために乾燥している廃材などと混合する必要があり、きめ細やかな調達が不可欠となる。調達できなければ、発電所の運営に直接支障が出る。また、樹木の種類で運搬費用にばらつきがあり、コストが増減する点にも注意が必要だ。
(文=和島英樹/ラジオNIKKEI 記者)