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丸紅、過去最高益支える“積極リスク経営”~シェールガス事業で先頭、投資はバランス重視

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丸紅、過去最高益支える“積極リスク経営”~シェールガス事業で先頭、投資はバランス重視の画像1丸紅本社(「Wikipedia」より/Lombroso)
 掘削技術の飛躍的な進歩により、従来は掘り出せなかった貢岩層から大量の原油や天然ガスが取り出せるようになった。特にシェールガス革命が進行する米国では、天然ガスの生産が急増。それに伴い同国のガス価格は、日本の液化天然ガス(LNG)平均輸入価格である100万BTU当たり18ドル後半の、5~6分の1にまで低下した。

 日本は2017年に、米国からのシェールガス輸入を始めるが、日本におけるシェールガスビジネスに布石を打ったのは、丸紅社長の國分文也氏である。國分氏は1975年4月に丸紅に入社以来、石油部門一筋に歩き、米国法人社長時代に同ビジネスに目を付けた。2010年にノルウェーのBWガスと共同で、シェールガスを運搬する上で不可欠となるLNG船を8隻保有し、LNG船の運航事業に参入した。11年にはカナダのティーケイと共同で世界の海運最大手、A.P.モラー・マークス(デンマーク)からLNG船を8隻購入した。國分氏が丸紅社長に就任する2年前の11年には、同社はLNG船を合計16隻保有するところとなり、商船三井や日本郵船に次ぐ規模となった。

 國分氏は13年4月1日、丸紅社長に就任。同15日、韓国のSKシッピングと共同で、トタル(フランス)の英国法人と新造LNG船2隻の長期傭船契約を結んだ。シェールガス輸送用として最長30年間、LNG船を貸し出す。また、韓国の三星重工にLNG船2隻を発注した。新しく建造するLNG船は幅49メートルで、15年に拡張されるパナマ運河を航行できるギリギリの大きさの船だ。20年をメドにLNG船を20~30隻に増やし、市場拡大が見込まれるシェールガスビジネスへの布石を着々と打っている。

 國分氏は社長に就任して間もない13年4月17日、ロシアの首都・モスクワに飛び、ロシア国営石油最大手、ロスネフチ本社でイーゴリ・セチン社長と極東ロシアで検討中のLNG基地建設の覚書に調印した。また、6月21日、ロスネフチは丸紅と日本の企業連合、サハリン石油ガス開発(SODECO)との間でLNGの供給数量について合意した。ロスネフチは19年から丸紅に年間125万トン、SODECOに同100万トンを供給する。

 SODECOは経済産業省が筆頭株主(50%出資)で、伊藤忠商事(18%)、JAPEX(石油資源開発、14%)、丸紅(12%)が出資している官民一体のエネルギー企業だ。13年4月に丸紅がロスネフチと提携した際、SODECOは「抜け駆けだ」と激怒したが、SODECOもLNGの供給を受けることができ、経産省はメンツを潰さずに済んだ。経産省の神経を逆なでした格好となった國分氏は、「可能性のあるプロジェクトに手を打つことが国益につながる。積極的にリスクを取りにいく」と気にする素振りはない。

●最終利益3000億円への挑戦

 そんなLNG事業に注力する丸紅であるが、同事業に一辺倒というわけではない。同社は13年5月に新たな中期経営計画(中計)「グローバル チャレンジ2015」を発表した。13年3月期連結決算で過去最高となる最終利益2057億円を達成したが、総合商社の中では5位の規模。さらに上位を目指し「16年3月期に最終利益を2500~3000億円に引き上げたい」と高い目標を掲げ、将来の成長に向け3年間で1兆1000億円の投資を実施する。

 投資の内訳は資源関連が4割、機械と食糧・生活産業6割とバランスを重視した。国内では原発稼動停止を受けてLNGの需要が急増しているが、資源の国際価格は大きく振れやすく、為替にも左右される。資源価格の下落など逆風下でも年間最終利益ベースで最低2500億円を稼ぐ体制を早急に確立する。その上で、安定して同3000億円を稼げる体制を確立するために、投資が資源一辺倒にならないよう配慮されたのだ。

BusinessJournal編集部

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