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ネット右翼、事実誤認と暴力的言葉から透ける、鬱積した不満と低いリテラシー

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1月29日、朝日新聞デジタルに掲載されたお知らせ記事
 朝日新聞デジタルが1月29日、「籾井勝人NHK会長の就任記者会見に関し、28日からインターネット上で『NHK籾井会長に質問した記者、朝日新聞の進藤翔(24)らしい』というツイートが流れましたが、朝日新聞社に該当する記者はおりません」というお知らせ記事を掲載した。いわゆる「ネット右翼」系の媒体で流れた情報に対して、あまりにも影響が大きいので、朝日新聞社が対応したようだ。


 筆者もよく、「ネット右翼」と見られる方々からご批判を受ける。中国市場のことを取材とデータに基づいて書いても、それが中国を批判する否定的な書き方でないと、「元アカヒ記者」「しっかり日本の教育を受け直せ」などと揶揄される。筆者は元朝日新聞記者。「ネット右翼」の世界では、朝日の論調が左的であると受け止められており、共産党など左系のことを「アカ」と蔑称することとかけて、朝日新聞のことを「アカヒ新聞」と呼ぶらしい。安倍政権や原発稼働に批判的な東京新聞に対しては、「トンキン新聞」という蔑称があるようだ。組織ジャーナリストだろうが、私のように組織から離れたフリージャーナリストだろうが、物書きである以上、書いたものに対する批判には耳を傾ける必要がある。少なくとも筆者はそれを心掛けている。

 しかし、それにしても「ネット右翼」と見られる方々のツイートなどで書いている話の多くは、事実を誤認しているという点でかなりお寒い。要はメディアリテラシー(情報を咀嚼する力)や世間を見る力がかなり低いわけで、そもそも朝日新聞を「アカ」だと批判すること自体、新聞をまったく読んでないし、イメージだけで語っている。

 確かに安倍政権に対して朝日は辛辣だが、筆者が見る限り、あるいは知る限り、ここ10年くらい朝日は権力や大企業に媚びる新聞に堕落していたと思う。消費者金融から5000万円の金をもらって広告と見境のない記事を書こうとした「武富士問題」や、筆者が在職時代に経験したパナソニックのヨイショ記事を書く代わりに広告を復活してもらう「密約」などはその象徴的な出来事といえるだろう。こんなことをやる新聞社が「アカ」だと言われるのなら、本当の左翼の人に対して失礼だと思う。

 こうしたことを続けてきた結果、朝日新聞は反権力という新聞の存在意義を忘れる会社になっていた。今の木村伊量社長になり、それを反省して権力の監視という新聞の原点に返る動きが見られ、安倍政権批判につながっているのだと感じる。

 人々の発信する情報が、情報技術の進化によって瞬く間に社会に広がり、影響力をもつことに改めて恐ろしさを感じる。かつて関東大震災の際に、在日朝鮮人の人が井戸に毒を入れたというデマが飛び交ったそうだ。そんなことは二度とあってはならないが、万が一、現代社会でそのような流言飛語が飛び交えば、その影響は当時とは比べられないほど拡散し、社会を惑わすだろう。「ネット右翼」の流言飛語などは無視すればよいという見方もあるのだろうが、スマートフォンなどの普及によって誰でもたやすくインターネット上の情報を取得しやすい時代になって、影響を見過ごすことができない時代が来ている。だから冒頭に述べたように朝日新聞がわざわざ「お知らせ」を掲載したのであろう。