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ブラック企業経営者が明かす、社員洗脳の手口~劣悪環境で“進んで”搾取される人々

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ブラック企業経営者が明かす、社員洗脳の手口~劣悪環境で“進んで”搾取される人々の画像1秋山謙一郎氏
 これまでブラック企業を取り扱った書籍といえば、ややもすれば従業員サイドからの視点で書かれたものが多かったが、そうした本とは一線を画し、経営者サイドからの視点にフォーカスを絞り込んで書かれた『ブラック企業経営者の本音』(扶桑社)が、発売早々Amazonで販売ランキング上位に入るなど、好評を博している。

 今回は、本書を今月上梓したフリージャーナリストの秋山謙一郎氏に

・ブラック企業の経営システム
・ブラック企業と新興宗教の共通点

などについて語ってもらった。

●「ブラック企業経営者」の視点から、ブラック企業を読み解く

–なぜ、経営者側を取材しようと思われたのですか?

秋山謙一郎氏(以下、秋山) 世間一般の多数派の意見ではなく、世の中で大勢の人から叩かれている人の言い分や本音に耳を傾ければ、そこに真実が隠れているのではないかと考えています。ブラック企業という言葉が世に知られるようになって従業員が悲惨な目に遭っているという話を聞けば聞くほど、その経営者とはいったいどんな経営を行っているのか、何を考えているのか、それを知りたくなったのです。ブラック企業経営者の考え方を知ることは、ひいてはブラック企業で働く人を守ることにつながると思います。

–取材に約3年、延べ100人のブラック企業経営者にインタビューされていますが、どうやって経営者に交渉したのですか?

秋山 いろいろな経営者とお話しする中で「俺は、ブラック経営者かな?」と気にしているような言葉が出ることが結構あったのです。そんな時に本音を引き出すようにしたのです。彼らには彼らなりの考え方があり、ブラック企業の経営は、見方次第では、とてもシステマティックです。だからブラック企業といえども働く人がいるんです。

●従業員酷使、サービス残業だけではないブラック企業

–ブラック企業の経営がシステマティックというのは、どういうことでしょうか?

秋山 まず、自分たちの組織の中だけでしか通用しない常識、ルールを徹底的に植えつけます。これに従わない者を徹底的に叩くと、従業員たちは「この組織はおかしいのではないか」と考えること自体が悪いことのように思い始めます。そうなると、経営サイドの戦略にはまり、長時間労働、サービス残業、休日出勤も厭わなくなります。

–洗脳によって、経営者の意のままに動く従業員がいるからこそ、ブラック企業が成り立っているというわけですね。

秋山 洗脳されない人、裏返せばルールに従順ではない人、限界まで我慢しない人、全力で仕事に取り組まない人は、ブラック企業にハマりにくいです。そういう人はバイト感覚でブラック企業を簡単に切り捨てて転職していきます。

–ブラック企業といえば、従業員の酷使や使い捨てといった劣悪な労働環境がまず思い浮かびますが、ほかにもあるようですね。

秋山 例えば、ある大手アパレルチェーンでは、勤務時間中に着用する洋服は当然、自社ブランドのものです。しかも、毎日同じものというわけにはいかないので、たくさん自社ブランド商品を買うことになります。社員価格で購入できるとはいえ、買った分だけ給与から天引きされます。裏を返せば、企業は安い人件費で社員を雇い、社員を増やせば増やすほど商品が売れるという仕組みです。

●従業員洗脳の手口は宗教と同じ

–本書の帯にある「ブラック企業とは、宗教である」とは強烈ですね。

秋山 新興宗教団体は、まず教祖のカリスマ性を打ち出して、信者を囲い込んで洗脳し、団体に多額の寄付をさせます。この一連の流れとブラック企業で使われる手口は、まるで相似形のように浮かび上がります。

–宗教のビジネスモデルを見習えば、ブラック企業を経営できるわけですね。

秋山 「卵が先か、鶏が先か」ではないですが、新興宗教団体のビジネスモデルは、ブラック企業にとって参考になる点は多いでしょう。結局、宗教団体とは宗教なのか、それとも宗教というサービスを提供するビジネスなのか。そのように考えていくと、一般企業経営でも役立つところはあろうかと思います。もっとも、それはあくまで「ブラック企業では」という意味です。

–これからブラック企業経営者を目指す人にとって必読の一冊ですね。

秋山 ブラック企業経営者を目指す方に向けて書いたものではありませんよ(笑)。あくまでも現状を伝えるルポという位置づけです。最初にもお話ししましたが、現在ブラック企業で働いている方や、将来運悪くブラック企業に入社してしまった方が、ブラック企業経営者の手口を知ることで身を守ってもらいたいというところに主眼を置いています。

–ありがとうございました。

 本書では、ブラック企業問題を新興宗教団体のスキームと自衛隊の新人教育に絡めて論じられている点が興味深い。この春に就職や転職を控えている人、今まさにブラック企業に勤め悩んでいる人にお勧めの一冊だ。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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