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鈴木貴博「経済を読む“目玉”」第17回

楽天日本一セール、ガチ参加者数が“だいたい”判明?驚異の人数とポイント還元率

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ネット通販サイト「楽天市場」より
 数多くの大企業のコンサルティングを手掛ける一方、どんなに複雑で難しいビジネス課題も、メカニズムを分解し単純化して説明できる特殊能力を生かして、「日経トレンディネット」の連載など、幅広いメディアで活動する鈴木貴博氏。そんな鈴木氏が、話題のニュースやトレンドなどの“仕組み”を、わかりやすく解説します。

 去る2月25日のこと、朝起きてみると筆者の保有する楽天ポイント(ECサイト・楽天市場)が1万ポイント近く増えていた。そう。この日は11月3日深夜から始まった「楽天日本一セール」で獲得したキャンペーンポイントが、全国の楽天会員に付与される日だったのだ。

 プロ野球チーム・東北楽天ゴールデンイーグルスの星野仙一監督の背番号にちなんだ77%オフ商品や、1001円(せんいちの名前にちなむ)の特売品が目白押しだったこの日本一セールだが、経営コンサルタントである筆者の関心はほかにあった。

「日本のプロ野球で初めて本格的なネットでの優勝セールが開催された場合、いったいどれくらいの日本人が、セールに殺到するのだろうか?」という、ネットビジネスの経済的な影響力が知りたかったのだ。

 そのような“崇高な”問題意識から、私は多忙な日常であるにもかかわらず、楽天の日本一セールで必死にバーゲン品を買いまくったのである。さて、私の狙いは、「全ショップ対象ポイント最大82倍」の中でも最大のユーザーが集まる「ショップ買いまわりでポイントアップ」キャンペーンへの参加数を知ることである。このキャンペーンは、購入するお店が1店舗増えるたびに、付与されるポイントが増加する仕組みだ。購入したお店の数が7店舗に到達するとポイント7倍で一旦上限に達し、その後10店舗に到達した人全員で500万ポイントを山分け、さらに18店舗に到達した人全員で再び500万ポイントを山分けするキャンペーンだ。

 このメインのキャンペーンにガチで参加した日本人が何人いたのかは、筆者自身がガチで参加した上で、付与されたポイント数から逆算すれば計算できる。がぜん知的好奇心が湧いてきたわけである。

 ちなみに楽天によれば、昨年末時点の楽天会員数は8976万人。そのうち、四半期に1回以上楽天で買い物をするユーザー数が1552万人だという。筆者の経済のプロとしての読みは、日本一キャンペーンに(キャンペーン登録した上で)参加する会員はおそらく500万人程度。その中からガチで10店舗買いまわりまで到達するのが参加者の0.2%程度の1万人。さらに18店舗まで到達するつわものは1000人程度になるのではないかと仮説を立てていた。

 その仮説通りにいけば、18店舗に到達した場合の山分けポイントは5500円になるので、バイト代として考えても悪くはない。いや、それ以上に楽天の社会的影響の真実を知りたいという“崇高な”目的で、この日、私は「牛すじ煮込み」やら「鶏そば」やら「安納芋」やらを買い進んだのである。

●楽天、購入者双方にとって成功?

 さて、その結果はどうだったのだろう。

 2月25日に筆者に付与された日本一セールの買い回りポイントは、合計で4441ポイントだった。実はこれは7店舗目で達成されたポイント7倍分込みの数字である。そこでそれを引いて純粋な山分けポイントだけを計算したところ、

「がっかり。山分けポイントはたったの747円分じゃないか」

というのが筆者の心の叫びだった。いくら楽天が社会に与える影響を計測するという“崇高な”目的があったにせよ、5500円もらえるのを期待していたのに747円だけだったというので、正直かなりがっかりしたわけだ。言い換えれば、

「そんなにたくさんの日本人が、ガチで参加していたんだ!」

ということである。筆者の想像以上に、日本人は昨年11月の楽天日本一セールに飛びつくように参加していたのである。おそらく筆者の予想を超えて、楽天の日本一セールには1000万人規模の楽天会員が参加したのであろう。それだけの数のユーザーがセールに参加して、うち、10店舗買い回りまで到達した会員がおそらく3~5万人いたことになる。

 キャンペーン参加者を1000万人と想定すると、このゴールまで到達した会員の比率は0.3~0.5%になるので、キャンペーン参加率としてはかなり高い数字になる。その上で、最終的に18店舗に到達したキャンペーンの最終ゴール達成者が7000~9000人もの数いたことになる。

 18店舗到達というのはゴールとしては結構高いハードルだったはずだが、キャンペーン参加者全体の0.1%弱、つまり1000人にひとりがそのゴールに到達していたことになる。これはネットで行われたキャンペーンとしては大成功の結果だったといえるだろう。日本のプロ野球で初めてネット上で行われた日本一セールは、楽天の大勝利に終わったわけだ。

 とはいえ、筆者個人が日本一セールのさまざまなキャンペーンで獲得したポイントは合計で9815ポイントになった。このポイントを購入金額で割ると、なんと15%ポイント還元セールだったことになる。つまり、一消費者の立場で見ても、日本一セールは大成功な買い物チャンスだったわけだ。

 あらためて楽天イーグルス、感動と楽しいキャンペーンに参加させてくれて「ありがとう!」。
(文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役)

●鈴木貴博(すずき・たかひろ)
事業戦略コンサルタント。百年コンサルティング代表取締役。1986年、ボストンコンサルティンググループ入社。持ち前の分析力と洞察力を武器に、企業間の複雑な競争原理を解明する専門家として13年にわたり活躍。伝説のコンサルタントと呼ばれる。ネットイヤーグループ(東証マザーズ上場)の起業に参画後、03年に独立し、百年コンサルティングを創業。以来、最も創造的でかつ「がつん!」とインパクトのある事業戦略作りができるアドバイザーとして大企業からの注文が途絶えたことがない。主な著書に『NARUTOはなぜ中忍になれないのか』『「ワンピース世代」の反乱、「ガンダム世代」の憂鬱』(ともに朝日新聞出版)、『戦略思考トレーニング』(日本経済新聞出版社)、『カーライル 世界最大級プライベート・エクイティ投資会社の日本戦略』(ダイヤモンド社)などがある。