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迷走するソニーの「VAIO」売却 なぜレノボによる買収観測?世界市場変動の余波も

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迷走するソニーの「VAIO」売却 なぜレノボによる買収観測?世界市場変動の余波もの画像1ソニー本社(「Wikipedia」より/Shuichi Aizawa)
 中国のパソコン大手、レノボ・グループがM&A(合併・買収)を加速させている。

 レノボは今年1月、米IBMから企業向け低価格サーバー事業を23億ドル(約2400億円)で買収することで合意した。1月末には米グーグル傘下の米携帯電話機大手、モトローラ・モビリティを29億1000万ドル(3000億円)で買収すると発表。カナダの通信機器大手、ブラックベリーのM&Aにも意欲を示している。

 さらに3月、米アンワイヤード・プラネットが保有する特許を1億ドルで買い取ると発表したのに続き、4月にはNECからスマートフォン(スマホ)関連技術の特許を手に入れることで合意した。NECは昨年7月にスマホ事業から撤退し、携帯電話キャリア(通信事業者)向けの情報システム事業などに力を入れている。NECとレノボは2011年7月にパソコン事業を統合。レノボが51%、NECが49%を出資する合弁会社、レノボNECホールディングスが発足。同社の100%子会社としてレノボ・ジャパンとNECのパソコン事業を担うNECパーソナルコンピュータを展開している。統合から5年後にレノボが合弁会社の全株式を取得できることになっており、事実上、レノボによるNECのパソコン事業の全面買収である。

●パソコン事業からの撤退相次ぐ日本企業

 そして、IBM、モトローラの買収に次いで、レノボにとって今年3つ目の大型買収案件として、ソニーのPC事業が浮上した。一部メディアは、ソニーがVAIOブランドで展開するパソコンの海外事業をレノボに売却すると報じたが、ソニーはこれを否定し、レノボはコメントを避けた。2月6日、ソニーはパソコン事業を投資ファンド、日本産業パートナーズに売却することで合意。ソニーは採算の取れないパソコン事業に見切りをつけ、成長性の高いスマホ事業に力を注ぐという選択をした。

 2013年12月の国内パソコン販売台数シェアで、ソニーは11.2%の4位だった。パソコン事業の売却を発表した今年2月、シェアは一気に6.8%にまで下落し、NEC、富士通、東芝、レノボ・ジャパン、日本エイサー(台湾)の後塵を拝し6位に後退した。

 これに追い打ちをかける事件が発生した。2月に発売したノート型パソコン「VAIO Fit 11A」のバッテリーが過熱して発火する恐れが発覚したのだ。3月以降、一部が焼ける事故が国内外で4件起こり、ソニーは無償点検・修理対応することを決定。世界50カ国以上でこれまで販売された2万5900台が対象で、修理作業は5月19日から始め、バッテリーを交換する。無償修理を希望しない利用者については、返品を受け付け返金する。

 かつて国内メーカーは高い技術力を生かし、世界のパソコン市場でしのぎを削ってきたが、最近ではスマホやタブレット端末に押され、パソコンの販売は低迷している。加えて、割安なパソコンを生産・販売する中国や台湾の新興メーカーが台頭し、価格競争が激しさを増して国内勢はパソコン事業から次々と撤退した。まず、07年に日立製作所が個人向けパソコンの生産を中止し、10年にはシャープがパソコン事業からの撤退を表明。11年にはNECがレノボと合弁会社を設立した。ソニーが撤退したことで、“日の丸”パソコンを担うのは世界シェア7位の東芝と同10位の富士通だけとなった。

BusinessJournal編集部

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