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闘うジャーナリスト・佐々木奎一がゆく! ワーキングクラスの被抑圧者たち 第16回

芸能プロ社長、所属タレントの交際に激高し5000万円要求 執拗な威圧で裁判に

文=佐々木奎一/ジャーナリスト
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  ニュースサイト「マイニュースジャパン」を中心に、企業のパワハラ問題や労働争議を追いかけ、常に弱者の立場に立った取材を続けるジャーナリストの佐々木奎一。独自のルートで取材した、企業裁判の渦中にある人々の声を世間に届ける!

 芸能プロダクション社長が、自社所属グラビアタレントに結婚を前提とした交際をしている男性がいることを知り、そのタレントに対して男性と別れるか違約金5000万円を払えと迫り、裁判で争っている事件がある。一審判決文と裁判で採用された証拠などの資料によると、事件の詳細は以下の通りだった。

 当事者の一方は、有限会社バックアップ・プロモーション社長の八木康夫氏。同社は東京都渋谷区笹塚にオフィスを置く芸能プロダクションだ。事務所スタッフは社長を入れて2人、タレントは現在4人所属している。

 陳述書によると、八木氏は10代の頃からアイドルのファンで、当時人気絶頂の南野陽子のマネージャーになった。そこで金にまみれた世界を見てしまう。その当時の南野と所属事務所の関係は最悪で、「芸能人として、人気があることが必ずしも当人にとっての幸せではないことを痛感」した八木氏は、理想のプロダクションをつくろうと決意し、21歳で運送会社を設立。そこで得た利益を元に25歳で「純粋な夢と信念を持って芸能界に入る女の子たちの夢を手助けしたい」という気持ちから、バックアップ・プロモーションを設立したという。

 芸能界では、利益追求に走るあまりタレントを使い捨てするプロダクションも多く、20歳を過ぎるとお払い箱となることも珍しくない。そんな中、八木氏の理想は、「タレントと事務所が手を取り合って、二人三脚で『何でも話し合える小さなプロダクション』をつくること」だった。

●濃厚な人間関係を重視するプロダクション

 こうした動機から、八木氏の会社には設立からの21年間で24人しかタレントは所属しておらず、在籍希望者の99%を断り、採用までには10回近い面接をし、自社や芸能界のデメリットを話し、それでも入りたいという強い意志を持ち、「“腹を割って”話せる女の子のみ」を採用してきたという。
 
 さらに八木氏は、南野のマネージャーだった時、つきっきりだったことを挙げ、「タレントと365日ほぼ24時間を共にするマネージャー(八木氏自身、社長兼マネージャーとして自社タレントと接している)は、ある意味、家族や恋人より遥かに密度が濃い関係で、お互いの本質を垣間見る職業。いわば、マネージャーとタレントは、オリンピック選手とコーチのような、互いに厳しい世界で唯一理解し合い、助け合えるパートナー」との持論を展開する。

 こうして現在、在籍するタレント4人はいずれも高校生の頃から所属し、15年以上の付き合いで、「4人全員が15年近く所属しているのは、この業界では奇跡」と述べている。
 
 また、八木氏は、「経営は、利益を度外視してタレントの夢を叶えることを第一にやってきた」といい、20年で黒字計上は一度だけで累積赤字は2億円に上り、蓄えを切り崩しながら運営しており、「会社という概念より、ボランティアや夢への投資の気持ち」で、「私にとっては所属タレントが売れる/売れないは関係なく、アイドルとして美しい存在であり、常に輝いてもらいたい。自社のタレントの第一のファンはまず、自分であるとの心得から、タレントに愛情を注ぎ大切に育ててきた」という。

 この濃厚すぎる人間関係を重視した企業カルチャーが、事件の背景にはある。

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