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苦境ソニー株主総会、平井社長へ退任求める厳しい追及や失望続出「がっかり」「甘すぎる」

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ソニー株主総会の会場外に設置された案内板
 6月19日、ソニーの株主総会が行われた。

 それに先立ち5月14日に発表された2014年3月期連結決算で、ソニーは最終損益が1284億円の赤字(前期は415億円の黒字)に転落。さらに今期(15年3月期)も500億円の最終赤字を見込んでおり、大手電機各社が軒並み業績回復を遂げる中、「ソニーひとり負け」の様相を呈している。また、約1350億円を見込む今期のソニーの構造改革費用の中には、パソコン事業の売却に伴う費用や国内外の本社・販売会社で行う約5000人の人員削減費用が含まれているが、1990年代後半以降、同社の人員削減数は累積ですでに7万人以上に達しており、「エンドレスの人減らしを、いつまで続けるのか」(同社関係者)という声も広がっている。ちなみに、リーマン・ショック後の09年3月期から14年同期までの5年間の最終赤字の累計は、1兆円近くに上る。

 そのため19日の株主総会は、経営陣を厳しく追及する声が上がることも予想される中での開催となったが、株主からの質疑の前に、議長を務める平井一夫社長兼CEOから13年度連結決算について説明があった。

 最終損益は前述のとおりで、売上高は前年度比14.3%増の7兆7673億円だが、前年度の為替レートを適用すると2%減になるという。営業利益は前年度に比べ2000億円減の265億円となり、資産売却にともなう影響とパソコン事業関連の減損が大きかった。事業分野別に見ると、エンタテインメント(音楽、映画など)事業や金融事業が好調なのに対し、エレクトロニクス事業が足を引っ張っているかたちが続いており、テレビ事業の赤字が10年間続いているのがその象徴といえる。

 この苦境を、ソニーはどのように乗り切っていく計画なのか。平井氏は「2014年度は高収益企業へ変容するために構造改革をやり切る。それをやり切ったあとに攻める」と説明したが、今年はコスト削減などの守りに徹し、魅力ある新商品の投入は来年度以降になるという意味だ。株主総会の中で平井氏が何度か口にした「小さい本社」は、まさにそのキーワードといえる。

 平井氏からの決算説明後に行われた株主の質疑では、株主から次のような苦言の声が上がった。

「今日、話を聞いて、がっかりした。あなた方にあと1年任せておいて、新しいものが出るだろうか。すぐに変わるだろうか。安心感が持てない。この1年で業績見通しを何回か下方修正しているようだが、状況把握が甘すぎる。栄えあるソニーが電機業界で唯一水面下だ。『○○ができなければ引退する』とコミットしてほしい。社外取締役にも一言、言いたい。あなたがたは一体、何を見てどんな助言をしてきたのか」

 この質問に対し平井氏は回答を避け、前言を繰り返すに終始した。ちなみに今回の株主総会では、社外取締役の新しいメンバーとして、前駐日米国大使のジョン・ルース氏、元経済産業事務次官の松永和夫氏、三井住友フィナンシャルグループの宮田孝一社長ら4名の就任が承認された。

 他の株主からは、次のような発言も上がった。

「ソフトバンクは20万円のコミュニケーションロボットを発売するという。ソニーもロボットをつくっていたではないか。そういう革新的な話を聞きたかった」

 株主総会は1時間45分で終了。開始30分あたりで「動議」と叫びながらヤジを飛ばした株主に対して、平井氏が退席を勧告する一幕があったものの、ソニーの経営状況を考えれば、比較的穏便なムードの中で終了したといえよう。
(文=横山渉/ジャーナリスト)