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惣菜、菓子、野菜…オフィス内「置き○○」サービス、なぜ一大ビジネスに成長?

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オフィスおかん 公式サイト」(「株式会社おかん HP」より)
 タニタ食堂のブームを機に社員食堂が見直されるなど、「食」を重要な福利厚生と位置づける企業が増えている。そうした中、にわかに注目を集めるのが、オフィスに無添加の惣菜を常備する「置き惣菜」サービスだ。仕組みは、オフィスに設置された専用冷蔵庫に、無添加の惣菜やごはん、スープなどが定期的に供給されるというもので、レンジで温めれば24時間いつでも手軽に食事がとれる。利用度合いに応じて、スタッフが週数回~月1回程度訪問し、商品の入れ替えや補充、代金の回収などを行う。

 2014年3月からサービスを始めた株式会社おかん(東京都渋谷区)の「オフィスおかん」では、従来の社食よりも低予算で導入できる「プチ社食」として、ベンチャー企業など小規模オフィスを中心に展開中だ。「福利厚生や社食の代替として、導入企業に一部の費用をご負担いただくことで、従業員の方々に手頃な価格でご提供いたしております」(同社)

 企業が負担するコストは、従業員1名当たり200円の月額基本料金と、1個当たり220円の商品代のみ。企業が一定の補助をすることで、社員は1個当たり100~200円程度で購入できる。

 類似のビジネスモデルとして思い出されるのが、オフィスにお菓子を配置する「置き菓子」サービスだ。いわば「富山の置き薬」の菓子版、あるいは無人販売の菓子版で、販売方法に目新しさはない。しかも、「オフィスで堂々とお菓子を食べる」行為へのネガティブなイメージや、代金回収などの手間を考えると、定着が難しいビジネスと思われた。しかし蓋を開けてみれば、近くにコンビニがないオフィスや、買い物に出るのが面倒な高層オフィスなどで特に需要が高かった。

●健康志向にシフトしつつある無人販売

 江崎グリコの「オフィスグリコ」が02年に置き菓子事業を本格化すると、明治製菓(現在は廃止)やロッテなど大手菓子メーカーの参入が相次いだ。13年からはファミリーマートが参入し、異業種も「置き菓子」サービスに熱視線を注ぐ。今や先行のオフィスグリコは、年間約45億円を売り上げるまでに成長した。

 その背景にあるのは、省スペースかつ低コストという利用企業側のメリットが大きい。企業にとっては、箱を置けるスペースを確保するだけで、面倒な管理の手間や初期費用がなく、オフィス環境の改善を図れる。一方、社員にとっては、仕事が煮詰まったときの息抜きや、残業に向けた腹ごしらえにと、低価格で手軽に利用できる点が支持されているようだ。

 江崎グリコがオフィスに設置する箱は、賞味期限や在庫水準などを反映させる商品管理システムで、07年にビジネスモデル特許を取得している。「置き菓子」自体の特許ではないため、他社は類似事業ができなくなるわけではないが、「置き菓子」サービスは一つのビジネスモデルとして確立した感がある。

 一方、13年12月から都内の一部エリアで、新鮮な産直野菜を常備する「置き野菜」サービスを展開するのがKOMPEITO(コンペイトウ、東京都港区)だ。プチトマトなどの小分けした野菜を手軽に食べられるとあって、朝食やおやつ代わりに利用したいというニーズにマッチし、渋谷のIT企業を中心に官庁などを含め約50カ所で導入されているという。

 そもそもこうしたサービスは、富山の置き薬や野菜の無人販売からヒントを得たといわれている。病院や薬局が少なかった時代、置き薬は人々の健康を守る重要な役割を担っていた。そして今、オフィスに置かれるのは、惣菜や野菜といった健康志向の高い商品にシフトしつつある。今後はどのような商品が配置されるのか。その動向に注目すべきビジネスといえそうだ。
(文=千葉優子/ライター)