PASMOの紛失、なぜ当日の再発行は不可?早朝でも翌日?東京メトロさんに聞いた
この連載企画『だから直接聞いてみた for ビジネス』では、知ってトクもしなければ、自慢もできない、だけど気になって眠れない、世にはびこる難問奇問(?)を、当事者である企業さんに直撃取材して解決します。今回は放送作家の山名宏和氏が、PASMOの発行期間にまつわる疑問について迫ります。
【今回ご回答いただいた企業】東京メトロ様
今、どれぐらいの人がPASMOやSuicaの類いを使っているのだろうか。
PASMOは便利である。電車やバスに乗る時以外にも、コンビニエンスストアでの買い物など、いろいろな場所で使うことができる。4月からの運賃値上げにより、現金払いよりPASMOを利用したほうが若干運賃が安くなったことで、PASMOを使う人はさらに増えているのではないだろうか。
そんな便利なPASMOが使えなくなってしまった。しばらく前から、カードの角の部分がはがれかけていた。それを騙し騙し使っていたのだが、ある日、チャージをする際、券売機に吸い込まれたまま引っかかって出てこなくなってしまったのだ。ボロボロのPASMO。いったいどうしたらいいのか。そう思っていると、駅員が教えてくれた。
「障害で使えなくなったPASMOは無料で再発行してくれる」
そうだったのか。知らなかった。そこで翌日の午前中、最寄り駅でPASMOを再発行してもらうことにした。だが、返ってきたのは、予想外の答えだった。
「再発行したPASMOの受け渡しは明日になります」
え、なんで? どうしてそんなに時間がかかるのだ。私のPASMOは無記名のPASMO。残額を調べて、新しいカードにそれを書き込めば済むのではないか。
そこで東京メトロに直接聞いてみた。
「PASMOの再発行って、どうして翌日になってしまうのですか?」
担当者 PASMOといいますのが、株式会社パスモというところで発行しておりまして、私ども東京メトロは、取り扱い事業者の中の1つでございます。お客様データの管理というのは、株式会社パスモが行っておりまして、私どもで紛失の受け付けをさせていただいて、そちらをパスモのほうに登録しなくてはいけないんですね。そのデータのやりとりをしなくてはならないので、当日すぐに再発行させていただくことができないのです。
–それにはどれくらい時間がかかるんですか?
担当者 各駅でいろいろと受け付けがございまして、データの置き換えというのをすべて致しますので、単純に何時間ということではなく、ある間隔毎に締め切りをした時間から、もう一度登録するまでの時間がかかってしまうということです。
—再発行する人のデータを一括で集めて、パスモに送って、また戻ってくるまでに時間がかかるというイメージですか?
担当者 さようでございます。
–例えば朝8時に駅の窓口へ持っていっても、翌日になってしまうのでしょうか?
担当者 さようでございます。営業日単位でまとめて処理をしますので、大変申し訳ないのですが、朝早いので当日夕方には再発行、というふうにはお取り扱いできないのです。
–ちなみに、私と同じような質問はよく寄せられますか?
担当者 2度駅の窓口へお越しいただかなくてはならないので、不便だというご意見は頂戴しているのですが、やはりシステム的にお取り扱いができないので、ご了承いただいている次第でございます。
–今後、当日中に再発行可能になる予定などはあるのでしょうか?
担当者 申し入れはしているのですが、そのようになるというような回答は聞いておりませんので、今のところどうしても再発行は翌日になってしまいます。
–ありがとうございました。
この件はパスモに聞かないと埒があかないようなので、同社に問い合わせてみようとホームページのお問い合わせ欄を見ると、「PASMOに関するお問い合わせは、PASMO取扱事業者の駅・バス営業所におたずねください」としか書かれていない。おそらく、利用者の声を聞く気も、この不便なシステムを解消する気もないのではないか……。便利なものには必ず落とし穴がある。みなさん、PASMOは大切に使いましょう。再発行してもらうことになると、けっこう面倒ですよ。
(文=山名宏和/放送作家)