駅のホーム、すべて1%傾斜?危険なのになぜ?東京メトロさんに聞いてみた
この連載企画『だから直接聞いてみた for ビジネス』では、知ってトクもしなければ、自慢もできない、だけど気になって眠れない、世にはびこる難問奇問(?)を、当事者である企業さんに直撃取材して解決します。今回は放送作家の山名宏和氏が、駅のホームに関する“気になる”謎について迫ります。
【今回ご回答いただいた企業】
東京メトロ様
今回は非常にローカルな話題である。東京メトロ表参道駅、中でも銀座線と半蔵門線の共用ホームを利用する人にしか、あまり関係のない話かもしれない。このホームの柱には、こんな注意書きがある。
「ホーム傾斜注意。車いす・ベビーカー・キャスター付きかばん等をご利用のお客様。ホームには傾斜があります。転落転倒をしないようにストッパーやブレーキをかけてください」
車いすやベビーカーのイラスト、さらには英語による表記もされた本格的な注意書きである。これを見るたび、僕は気になって仕方ない。どうしてホームに傾斜があるのだ? 危ないとわかっているのに、どうしてそのままにしてあるのだ。水平にすることはできないのか。
だが、東京メトロも馬鹿ではないはずだ。ホームに傾斜があるのには、なんらかの理由があるに違いない。そこで東京メトロさんに直接聞いてみた。
「どうして表参道駅のホームには傾斜があるんですか?」
担当者 ホームの傾斜については、鉄道の法律で定められてまして、水勾配といって、ホームに1%の勾配をつけていいという、鉄道技術基準というものがございまして、それに基づいてホームから線路側のほうに1%のゆるい水勾配を設けております。この法律というのも昭和になってからできたもので、古い駅については、それ以上に勾配のある駅も若干あるというとこが確認できているのですが、ベビーカーなりを置いておいたらそのまま勾配でホームの軌道に転落してしまうような事故が他線でございましたので、それで(注意書きを)置いてあるということです。
–水勾配は、なんのためにあるんですか?
担当者 水をはけるためです。真っ平らですと、ホームで水が流れた時に、はけないですよね。清掃などの作業もありますので、ホームの軌道側に水が流れるように水勾配というのを設けております。
–それは、東京メトロだけのことなのですか?
担当者 いえ、この基準の中で、どの駅もつけております。これは東京メトロに限らず他の私鉄でも、JRでも。鉄道技術基準という鉄道の法律みたいなものでございますので。
–傾斜は、どこの駅でも1%以内なのでしょうか?
担当者 基本的には1%以内にというように定めているんですが、それ以前の、例えば銀座線ですと戦争前につくられた構築などもございますので、そういうところについては一部、1%を超えてるようなところもございます、実際には。ですが、新しい基準にのっとりつくられているところはすべて、1%以内の水勾配というのを遵守してつくられています。これはもう、トンネルをつくる工事の時から決まっております。