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破たんの白元、争奪戦の舞台裏 なぜエステーは“降りた”のか? 混迷の殺虫剤業界

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白元の「靴用貼るホッカイロ(5個入)」
 民事再生手続き中の日用品メーカー白元は、再建を支援するスポンサーに殺虫剤大手のアース製薬を選んだ。支援額は75億円で、アースが受け皿となる子会社をつくり、事業を引き継ぐ。提携先を決める最終入札には日系投資ファンドのイースト・インベストメント・キャピタル、米国系ファンドのテキサス・パシフィック・グループ、アースの3社が参加した。イーストが110億円を超える最高額を提示したが、白元の管財人は「資金調達の確証がない」とこれを退け、アースをスポンサーに選んだ。

 アースは大塚製薬グループであり、国内殺虫剤市場首位で液体蚊取り器「アースノーマット」や防虫剤「ピレパラアース」、ごきぶり退治器「ごきぶりホイホイ」で知られる。2012年には入浴剤大手のバスクリンを買収した。消費者によく知られた白元ブランドを取り込むことで、量販店などへの価格交渉力を高めるのが狙い。アースの14年12月期の売上高は1416億円、営業利益は67億円と増収増益を見込んでいる。

 白元は衣料用防虫剤「パラゾール」をはじめ冷蔵庫用脱臭剤「ノンスメル」、使い捨てカイロ「ホッカイロ」、衣料用防虫剤「ミセスロイド」、保冷枕「アイスノン」など息の長いヒット商品を次々と生み出し、非上場ながら知名度は高かった。

 米ハーバード大学ビジネススクールでMBA(経営学修士)を取得した創業者の孫の鎌田真氏が06年4月に社長に就任。鎌田氏は防虫剤からの脱却を進めたが、防虫剤の市場規模は250億円程度であり、日用雑貨の屋台骨を担うような大型の市場ではない。他の分野に進出するためM&A(合併・買収)に力を入れた。医療衛生品メーカーや入浴剤メーカーを傘下に収め、ノーズクッションつきマスク「快適ガードプロ」や入浴剤「バスキング」など衛生用品・入浴剤事業に参入した。

 しかし、主力の防虫剤市場で競合のエステーに押されるなど競争激化で業績が伸び悩み、M&Aの資金負担などから財務状態が悪化した。再建を目指して13年5月、住友化学に対し第三者割当増資を実施、住友化学は白元株の19.5%を保有する筆頭株主となった。さらに今年1月には、使い捨てカイロ「ホッカイロ」の国内販売事業を「キャベジンコーワ」で有名な医薬品メーカー、興和に譲渡した。しかし、14年3月期は62億円の最終赤字を計上し、債務超過に転落。5月に民事再生法を申請。負債総額は255億円だった。

●アースとエステーの争奪戦

 当初、白元のスポンサーはアースとエステーの争いになるとみられていた。エステーは防虫剤「ムシューダ」や消臭剤「消臭力」などのヒット商品を持ち、14年3月期の売上高は469億円。防虫剤は首位で、芳香剤は2位だ。

 アースとエステーは2010~11年にかけて殺虫剤業界3位だったフマキラーをめぐり争奪戦を繰り広げた因縁で、アースは国内殺虫剤市場で5割を握るガリバーだが海外展開に後れを取っている。これを挽回するために、早くから海外展開を図ってきたフマキラーの株式を買い占めて買収に乗り出した。アースが筆頭株主になるとフマキラーは、防衛策として防虫剤首位のエステーと資本提携した。エステーが筆頭株主の座を奪還して、攻防の果てに11年2月、アースは保有するフマキラー株式をエステーに売却して撤退した。エステーはフマキラー株式の25%を保有し、持分法適用会社に組み入れたが、現在は出資比率を10.4%に落としている。