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貧乳ブラジャーの新ブランド、なぜ即日完売?女子大生が手がける驚きのビジネスモデル

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ハヤカワ五味氏
 日本女性は食べ物や生活習慣などの影響により、胸が大きくなりつつあるという指摘もあるが、「貧乳」といわれる胸の小さい女性も少なくない。そんな胸の小さい女性をターゲットにしたランジェリーブランド「feast」の通信販売サイトが8月13日に立ち上げられ、販売開始と同時に大きな反響を呼び、即日完売した。しかも、その「feast」は多摩美術大学1 年生の女性デザイナーが立ち上げたという。

 今回、そのデザイナーであるハヤカワ五味氏に、

・なぜ胸が小さい女性向けのブランドを立ち上げたのか
・貧乳ブラジャーとは具体的にどのようなものなのか
・事業資金をどのように調達したのか

などについて話を聞いた。

--「feast」立ち上げの経緯について教えてください。

ハヤカワ五味氏(以下、ハヤカワ) 「feast」が本格的に動き出したのは、7月からです。それまでは、私が展開しているファッションブランド「GOMI HAYAKAWA」の展示会で販売活動をしており、「feast」立ち上げの準備が遅くなってしまったのです。そもそも「GOMI HAYAKAWA」は、私自身のコンプレックスや「こうなりたい」という思いをテーマにして、私の作品を手にとってくださった方をデザインしていうことを目指すブランドです。ちなみに、前回の展示会のテーマが「かわいくなりたい」、今回は「強くなりたい」でした。「feast」は「GOMI HAYAKAWA」の妹ブランドに当たるもので、胸が小さいという私自身のコンプレックスから生まれました。服は、胸の大きさに関係なく選ぶ楽しみがあるのに、ランジェリーを選ぶ時はコンプレックスと向き合って、苦しくて楽しくない思いをしていると感じたことがきっかけでした。

--小さい胸のためのランジェリーは、そんなに少ないのでしょうか?

ハヤカワ ランジェリー売り場では、大抵小さいサイズが手前に置いてありますが、Bカップ以上しか置いていないお店が大半です。以前ある大手ショッピングセンターに行った時に、センター内にあった4~5軒のランジェリーショップすべてを回ったのですが、Aカップ以下のブラジャーは2~3着しかありませんでした。Aカップ以下を1着も置いていない店もありました。そんな状況を見て、自分でブラジャーをつくってみようと思ったのです。

●支える機能がいらないので、自由にデザインできる

--デザイン上、工夫した点を教えてください。

ハヤカワ ブラジャーは、基本的に胸を支えるために着けるものです。従って、ほとんどの製品は機能面が重視されており、その機能を保った状態で縮小拡大しているだけです。デザインに関しても、胸の大きさに合うようにつくられているわけではありません。しかし貧乳ブラジャーならば、胸を支える機能よりもデザインに注力した製品にすることができます。そこで、体を1周ぐるりと回るような形状にして、見た目にもインパクトがあり、「GOMI HAYAKAWA」のイメージコンセプトにも沿ったものに仕上げました。従来のブラジャーの形にこだわると、ありきたりのデザインになりがちなので、ふわっとしたイメージにして、自然に胸の部分のかさ増しができるようにも工夫しました。

--さらに別のコンセプトでデザインする予定はありますか?

ハヤカワ 今回は「部屋で過ごす時に着る」「部屋の中で、人に見せて“かわいいね”といわれる」「自分自身が着たいと思う」という製品を優先してデザインしました。今後は、外出時用や部屋の中でパジャマ的に着るものなど、いろいろと展開していく予定です。

●資金援助もなく、小遣いや貯金を取り崩して製作

--事業資金は、どのようにして集めたのですか?

ハヤカワ 高校生の時に、タイツなどのデザイン・販売を始め、そこで得た資金を元手にしています。元の事業も、高校生になるまでにお年玉などを貯めたお金で始めました。今も家族などから一切事業資金の援助は受けず、お小遣いの一部を製作資金に回したりしています。撮影やモデルも、友だちに基本的にノーギャラでやってもらっています。ホームページは、大学の同級生に「ご飯おごるから」と言って制作をお願いしました。製品に関しては、あるレース会社から工場を紹介していただきました。

--発売初日に即日完売ということですが、増産とはならないのでしょうか?

ハヤカワ 受注した分だけ生産する予定でいたのですが、生産するための予算を大きく上回る注文があったので、キャンセルが起きた場合のリスクも考えて、完売とさせていただきました。

●人をデザインするビジネスへ

--今後の活動予定について教えてください。

ハヤカワ 「feast」は、私のデザイナーとしての目標「貧乳の価値観を変える」を、多くの人に認知していただき、さらに「GOMI HAYAKAWA」のコンセプト「人をデザインする」についても、目標を達成することができたと手ごたえを感じています。今後も定期的に「GOMI HAYAKAWA」のブランド発表の活動をキープしていきたいと考えています。

 とかく大学生が立ち上げるビジネスでは、つくりたいものをつくって単に売るだけになりがちで、なかなか利益が出ないと聞きますが、私はつくりたいものをつくりながらも、大学生のうちに会社を立ち上げたいです。

 ハヤカワ五味というのは、元は小学校のころからマンガの投稿などをしていたのですが、そこで使用していたペンネームです。私は本名で「○○ちゃん」と呼ばれるとすごく調子に乗るタイプなので本名を避け、最終的に画数も考慮してハヤカワ五味としました。生まれも育ちも東京で、ずっと実家暮らしをしているのですが、去年までは自分の部屋もなく、大学生になってようやく自分の部屋とパソコンを持つことができました。今まで親にほめられることもなかったので、「feast」の成功でちょっとくらいほめてもらえればうれしいです。

--ありがとうございました。

「feast」は、上下セットで4800円と、学生にも手が届く価格に設定し、公式サイトで通信販売を行っている。ハヤカワ五味氏の素顔は、10代の女子大生そのものだが、しっかりとしたビジネス感覚を持った経営者の片鱗を感じさせる、ビジネスパーソンの卵であることは間違いない。自身で体感したマーケティング感覚で、製品を企画・製造・販売し、協力してもらう仲間を募り、ビジネスリスクまで冷静に考慮していることに驚嘆した。今後のハヤカワ五味氏の活動に注目し、応援していきたい。
(文=大坪和博/PLAN G代表)

●ハヤカワ五味
 高校1年生の頃からアクセサリー類の製作を始める。2年生の時に初めてデザインフェスタに個人で出展。その時に販売した「キリトリ線ストッキング」の写真がtwitterで拡散され有名に。その後も、大学受験のかたわらで木目調ストッキング、プリントタイツ類のデザイン、販売を行う。大学入学後は、原宿、秋葉原での販売に加え、海外への通信販売、総合的日本部下博覧会「JAPAN EXPO」 での販売も行っている。6月に原宿で行った「少女漫画」シリーズの展示予約会では、初日だけで100 人の来客があり、今年末には渋谷のGARRET udagawa にて新作シリーズのお披露目ショーイベントを予定している。