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代ゼミ、独り負けのウソ?他事業へシフトで健全な新陳代謝、「継続は美徳」の罠

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代々木ゼミナール本部タワー(「Wikipedia」より/Ystokyo)
 大手予備校の「代々木ゼミナール」(代ゼミ)を運営する高宮学園は8月25日、来年3月末で全国27カ所ある校舎のうち20カ所を閉鎖すると発表し、話題を呼んだ。例えば8月29日付朝日新聞は、次のように報じている。

「大手予備校『代々木ゼミナール』(東京都)が、校舎の閉鎖と大幅な人員削減に踏み切る。来月1日からは、早期退職の募集も始まる。『3大予備校』と呼ばれた一角が、なぜ生徒集めに失敗したのか。少子化の流れに加え、入試改革が進む中、予備校は『変革』を迫られている。(略)駿台予備学校、河合塾と並び3大予備校と言われ、かつては学生数8万人を擁した代ゼミ。しかしライバル大手幹部は『代ゼミは10年以上前から低迷し、実質的には“2強”だった』と驚く様子もない」

 また、9月1日付日本経済新聞では、ジャーナリスト・池上彰さんが、「大手予備校『代々木ゼミナール』が、全国に27ある校舎のうち20校を閉鎖する方針であることが、先月、明らかになりました。そんな時代が来たのかと、いささか感傷に浸ってしまいました」と、コメントしている。

 しかし、筆者は代ゼミの校舎閉鎖問題を、あまり感傷的にはとらえていない。むしろ事業ポートフォリオの新陳代謝が健全に働いており、人間でいえば、今後も健康で元気に生きられるだろうなぁと羨ましく思っている。

 筆者は生粋の日本人なので、こういうことを言うのは忸怩たる思いだが、日本人というか日本の文化に染まった人は、「一度事業を始めたら、それを継続することに意義がある」と考える傾向が強い。この20年でずいぶん雰囲気は変わってきたが、それでも「大学を出て新入社員で入った会社を、定年まで勤めあげる」という考え方が、相変わらず美徳とされることが多い。そのため、「配属された事業が途中でなくなったら困る」という考え方が、DNAに刷り込まれているのかもしれない。だから、「校舎を20校も閉鎖するなんて、そこに勤めている社員はどうなるのだろう」という考え方がなされるのだろう。

 もっとも、永続できる事業なんてめったに存在しない。第2次世界大戦以前から日本で有力な産業となった繊維産業も、海外でそれなりの品質の製品を日本よりも低コストで生産できるようになれば、簡単に衰退してしまった。テレビや冷蔵庫などのエレクトロニクス産業も同様で、海外でそれなり、もしくはほぼ同品質のものを日本よりも低コストで生産できるようになれば、衰退する。

 にもかかわらず、「技術立国、日本」などと旧態依然としたスローガンで、ずるずるとテレビを生産し続けるような日本のエレクトロニクスメーカーは、窮地に陥ることになってしまう。であればむしろ、将来性がないと判断された事業は早めに見切りをつけて、次の事業への投資の源泉としたほうがよい。

●既存事業へのこだわりを捨てる


 人間の病気に例えると、このようになる。日本のエレクトロニクスメーカーは、「なんか体の体調がおかしいなぁ」と思いながら、ずるずると過ごす。体の節々が相当痛くなってきて、病院に行ったら「そうとう悪化しています。緊急手術が必要です」と言われるようなものだ。