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ソニー、広がる平井社長退任観測、後任は吉田CFOを軸に調整か なぜ初の無配転落?

文=編集部
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ソニー、広がる平井社長退任観測、後任は吉田CFOを軸に調整か なぜ初の無配転落?の画像1ソニーの製品(写真/田中まこと)
 9月16日の東京市場で、ソニー株は2173.0円の年初来最高値を更新した。北米最大の公的年金基金カルパースが、資産運用先である30のヘッジファンドから約40億ドルを引き揚げると発表。それを材料に買われた。日本株の代表格であるソニーに資金が流入すると期待されたからである。

 8月8日に優良銘柄の指標である「JPX日経インデックス400」からソニーは外れたが、同日の1745.5円を底値として9月16日には2173.0円まで急騰した。8月25日まで株価は11日連続で上昇し、1995年と99年の10連騰の記録を塗り替えた。この間の値上がり率は24%に達した。業績はエレクトロニクス業界で独り負けが続いているのに株価だけが急騰したのは、マネーゲームの対象になったからだとみられている。

 そのソニーが本格回復に向けた取り組みは順調と説明してきた根拠が、ゲームと画像センサーだった。ゲームでは2013年11月発売の「プレイステーション(PS)4」が8月10日に1000万台を突破。約9カ月間でこの販売台数達成はPSシリーズで最速だ。世界シェア1位の画像センサーではスマートフォン(スマホ)への搭載拡大を背景に、月産能力を1割増やすと7月に発表した。15年には自動車向けカメラ用センサーにも参入。明るい話題が続いたが9月、舞台は暗転する。

 ソニーは9月17日、株式取引市場が閉まった後、15年3月期の業績見通しを下方修正し無配に転落すると発表した。株主への配当を取りやめるのは、1958年の上場以来初めてのことだ。

 業績を下方修正したのは、スマホ事業で利益を見込めないと判断したため。新興国で低価格を売りにする中国メーカーの攻勢に遭い大苦戦し、1800億円の損失を出して事業を縮小することを決めた。それに伴い、本業の儲けを示す営業損益が従来の1400億円の黒字予想から一転して、400億円の赤字(14年3月期は265億円の黒字)に転落。最終損益は従来予想の500億円の赤字が2300億円の赤字(同1284億円の赤字)に拡大する見込みだ。

 平井一夫氏が社長に就任以来、下方修正は今回で6回目。恒例行事となった下方修正に市場関係者の間で驚きはないが、無配転落の衝撃は大きい。平井氏は自身の経営責任については「構造改革をやりきり、ソニー全体を立て直すことが一番の責任だ」と述べるにとどまったが、初の無配転落を受け、同社関係者の間では早くも平井社長の辞任観測と“ポスト平井”予想が広がりつつある。さらに市場関係者の間でも、「平井氏が市場の信頼を失った今、平井氏の社長退任はソニー再建の前提条件」(証券アナリスト)と厳しい見方が広がる。

●“ポスト平井”の有力候補

 平井氏の後任として有力候補と目されているのが、17日の会見に同席した吉田憲一郎・CFO(最高財務責任者)だ。吉田氏は財務畑出身で、出井伸之社長時代に社長室長を務めたこともある出井氏の元側近だが、2000年にソネットに転じた。インターネット接続会社のソネットは新興企業の育成にも力を入れており、ソーシャルゲーム大手ディー・エヌ・エーなどに投資して成功してきた。13年12月、ソネット社長からソニーの執行役CSO(最高戦略責任者)に一本釣りされ、それからわずか4カ月後の14年4月にナンバー2のCFOに大抜擢された。一連の人事を平井氏に強く勧めたのは出井氏だったといわれている。

BusinessJournal編集部

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