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福留憲治「とあるマーケ・コンサルの日記」(Vol.2)

アップルを部品納入企業が提訴 他社に技術漏洩させ発注先変更、不当な減額要求の疑い

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アップルのiPhone 5c
 今年8月、アップルへ部品を供給するメーカー島野製作所(東京都荒川区・非上場)が、アップルを相手に独占禁止法違反と特許権侵害で東京地裁に提訴した。

 提訴に至るまでの一連の経緯はすでに広く報じられているが、島野は電源アダプタのピン部分などを製造するメーカーであり、年間売上高は約30億円程度と小規模ながらも、技術力の高さには定評がある。アップル以外にも、米インテルや韓国サムスンなどへも製品を供給している。

 島野は2006年からアップルとの取引を開始。07年にアップルがスマートフォン(スマホ)iPhoneを発売すると大ヒットし、その生産数量が急増した。そこでアップルは島野に対し複数回にわたり部品の増産を要請し、島野はこれに応じて生産体制を拡充させていった。この時期、アップルは島野に対し、新製品用のピンの開発を要請し、島野は技術流出を避けるために「アップルは島野と類似した製品開発を行わない」という合意の上で商品開発を行い、新製品をアップルに供給した。

 しかし12年8月頃から、両社の関係は悪化していく。突如、アップルは新製品用のピンの発注量を激減させたのだ。これについて島野はアップルに説明を求めたが、アップルは「(島野の商品が使われる)電源アダプタの需要が大幅に減ったためだ」と説明していた。しかし裁判における島野の主張によれば、アップルは他メーカーに類似した商品を製造させ発注先を変更していたという。島野側はこれまでにも「アップルが合意に違反して技術を流出させ、特許権侵害に当たる」と主張したが、これに対しアップルは「設計図が異なり、合意違反ではない」と説明したという。

 島野は受注量の急減のため、大量の在庫と生産ラインを抱え赤字に陥り、取引再開のためにアップルが複数回にわたり要求していた減額要求に応じざるを得なかった。そこでアップルは取引再開の条件として、アップルが島野から購入済みの商品在庫についても減額後の価格となるよう、その差額として約159万ドル(当時のレートで約1億6000万円)をリベートとして支払うことを要求したのだ。

 この時のアップル担当者から島野へ送付されたメールが、裁判で公開されている。

「リベートを払ってもらう必要がある」
「159万ドルを6月第1週までにアップルへ支払ってほしい」
「以下の口座に送金してください。バンクオブアメリカの(略)」

 年商30億円規模の島野にとって1億6000万円は巨額である。この要求について島野は、実質的に決済まで終了した商品への値下げの強要であり、不当なリベート要求であると主張している。