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ソニー、なぜ存亡の危機に?失敗繰り返される構造改革と、楽観的な収益重視路線の行方

文=片山修/経済ジャーナリスト・経営評論家
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「市場シェアや台数など、規模の拡大ベースにした戦略から、収益性を重視する戦略に変える」
「(ウェアラブル端末など)スマホ事業をやっていく中で、スマホの後のビジネスにつなぐことも考え、ソニーとして積極的に関わっていく」

 つまり、拡大路線から収益重視路線に転換すれば、スマホ事業の立て直しは十分図れると強調したのだ。しかし、これは、あまりに楽観的かつ希望的ではないか。なぜなら、サムスンでさえ、いま大ピンチに陥っているからだ。サムスン電子は昨年の営業利益を3兆6000億円計上したが、その主力の収益源はスマホだ。ところが、中国メーカーなどとの競争激化を受けてこのままスマホの不振が続くと、今年の営業利益は1兆円以上ダウンして2兆5000億円から、最大2兆1000億円にまで落ち込むのではないかといわれているのだ。まさしくスマホ帝国の黄昏である。

 だから、ソニーが収益重視路線に舵を切り、ローエンドからハイエンドの高付加価値のスマホに経営資源を集中するといっても、まずハイエンド市場はサムスン、アップルの二強の牙城であるばかりか、今後中国メーカーの参入も予想される中で、いったいソニーに“出番”はあるのだろうか。

 というのも、ソニーは10年にわたって赤字を垂れ流すテレビ事業においても、同じフレーズ「規模から収益へ」を用いてテレビ黒字化を打ち出したが、いまだに実現していない。スマホがテレビの轍を踏まないと誰が保証できるのか。サムスンの昨年のスマホの販売台数は3億1390万台で世界シェア31.3%。これに対しソニーのスマホの今期販売目標は5000万台で、今回売り上げ不振を受け4100万台に下方修正した。もう、周回遅れもいいところだ。スマホ事業が赤字を垂れ流し続けるテレビ事業の二の舞いにならないためには、よほどの秘策が必要だろう。

 同社は11月25日、エレクトロニクス事業に関する説明会を開き、新任のソニーモバイルコミュニケーションズ社長兼CEOの十時裕樹氏がスマホ事業の今後についてプレゼンする予定だが、果たしていかなる秘策を打ち出すのか、注目される。

●危機意識の欠如

 ソニーの危機の最大の要因は、つまるところ経営トップに決定的に危機意識が欠如していることにあるのではないか。それはとりもなおさず、責任の欠如にあるのではないか。

 一例をあげてみよう。13年5月9日、12年度決算発表会の席上、私は唖然としたシーンがあった。記者から「当初約束した3つの黒字は達成されたのか」という質問が出た。3つの黒字化とは、(1)連結の最終損益、(2)エレクトロニクスの営業損益、(3)キャッシュフローの黒字化である。結果は、(1)連結の最終損益は黒字だった。もっとも、旧本社地の土地などを売却してあげた黒字である。(2)エレクトロニクスは未達、(3)キャッシュフローは営業と投資の合算で113億円のネガティブだった。

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