今年4月にスマートフォンとSIMのセット販売を実施し、“格安スマホ”のけん引役となったイオン。そのイオンのスマートフォン事業は現在、スマートフォンだけでなくタブレットやWi-Fiルーターを扱い、総合モバイルサービス「イオンモバイル」へと進化している。流通企業ならではのイオンモバイルの強みを、同社の最近の取り組みから追ってみよう。
●50代以上が約5割、シニアから高い支持
今年大きな注目を集めた、SIMフリーのスマートフォンと仮想移動体通信事業者(MVNO)のSIMをセットで販売する格安スマホ。その先駆けとなったのは、4月に発売を開始した「イオンスマホ」だ。端末は最新型ではないし、通信速度も決して速いとはいえなかったが、大手キャリアのスマートフォンの月額利用料が6000~7000円前後かかる中、端末代込みで月額2980円という非常に安い価格で、しかもイオンの店頭で直接購入できることが人気となり、用意した8000台の在庫が短期間で完売するほどの人気となった。
この成功によりイオンスマホは一躍大きな注目を集めたことから、イオンは次々とスマートフォンの新製品を投入していくことになる。第2弾ではより大画面の端末を採用し、通信速度も向上させたほか、第3弾ではLTEに対応したスマートフォンを投入。既存キャリアと同等の高速通信を、低価格で利用できるようになった。
そして現在、イオンスマホの販売台数は公表されている限り約4万台に達しており、1年に満たない期間で急速に存在感を高めている。さらに注目すべきは年齢構成で、ユーザーのうち約5割が50代以上の世代。この割合は既存キャリアの年齢構成と比べると非常に高く、従来スマートフォンへの移行が進まないといわれてきたシニアから、高い支持を得ていることがよくわかる。
そうしたシニアユーザーの声を受け、11月27日に発表した第4弾のスマートフォンが「ARROWS M01」になる。これは格安スマホとしては珍しい国内メーカー富士通製の端末で、文字やアイコンを大きくした独自のホーム画面を採用し、フィーチャーフォンライクなメニュー画面を用意するなど、スマートフォンを初めて利用するシニアを強く意識してホーム画面に大幅なカスタマイズを施しているのが、特徴となっている。