この2年縛りで発生する違約金が不当であるとして訴訟を提起したNPO法人があり、その裁判の行方に注目が集まっていたが、最高裁判所の判断が今月出た。
争点となっていたのは、途中解約されることで携帯電話事業者(キャリア)がどれだけ損をしているのかという部分だった。途中解約によりキャリアが被る損害よりも違約金の額が低ければ、契約は妥当と考えることができるためだ。
京都地方裁判所の判決では、早い時期に解約した場合の損害は大きいが、2年の満期を迎える直前ならば違約金として設定されている金額よりも損害のほうが下回るのではないか、ということで一部無効とされた。しかし、大阪高等裁判所では一転して事業者の損害のほうが大きくなるため、2年間のいつ解約しても違約金の存在は問題ないとの逆転判決により、最高裁へもつれ込んだ。そして最高裁は二審判決を支持。つまり、2年間いつでも事業者側の損害のほうが大きく、違約金は適法である、と判断したのだ。
キャッシュバック目当てに契約し、直後に解約をするような悪質なユーザーに対して違約金を課すことに、まったく異論はない。逆に問題なのは、今のプランの多くは、利用開始から2年を経過すると自動継続で次の2年縛りが始まってしまうことだ。従って、「休暇中に乗り換え手続きをしよう」「春にいい端末が出たら買い換えよう」などと考えていると、2年を超えた長期利用者でも損をしかねない。
「縛りの適用は、最初の2年だけにしてほしい」「せめて乗り換え可能な時期が近づいたら通知をしてほしい」などの声もある。このあたりについて、事業者が対応してくれることに期待したいところだ。
●クーリングオフができる?
そんな中、携帯電話は契約から8日以内ならば解約できるようになるという話題が飛び交っている。2015年度に導入されるといわれている制度だが、気軽に購入して、不満があれば8日以内に解約すればいいというものでもない。なぜなら、このクーリングオフ制度の対象となるのは「通信サービス」に限られるからだ。
つまり、例えば「キャリアを乗り換えたけれど、自宅でつながらなかった」「速度制限のあるプランを利用してみたけれど、自分の使い方には合わなかった」など、通信部分に不満がある時に限って違約金なしで解除できるが、端末は返品できない。通信料金を値引きし、端末代の割賦代と相殺することで「実質無料」と標ぼうするサービスは多い。このような場合、通信サービスの契約を解除しても端末もクーリングオフできるわけではないので、端末代は丸ごと負担しなければならない。