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楽天、好決算の“実態” 果敢な海外M&Aに潜む危険、高まる資産減損リスク

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楽天本社(「Wikipedia」より/Kentin)
 まるで会計基準の変更が、消費増税による業績悪化要因をはね返したかのような好決算だった。

 楽天が昨年11月5日に発表した今期(2014年12月期)第3四半期(1-9月)連結決算は、売上高に当たる営業収益が前年同期比14.7%増の4242億円、営業利益が同3.0%増の731億円、最終利益が同16.5%増の423億円だった。好決算を引き寄せたのは、意外にも「楽天市場」をはじめとする国内インターネット通販事業だった。同事業の流通総額(取扱高)は前期比16.7%増の1兆4470億円となった。

 同日記者会見した三木谷浩史会長兼社長は、流通総額が大幅に伸びた要因を「増税により消費者が価格に敏感になり、ネットショップのほうが実店舗より安いとの認識が高まった。実店舗を運営している出店者からも、4月以降は実店舗の売り上げが極めて厳しいとの声を聞いている」と分析した。

 ところが、証券アナリストは「国内ネット通販のがんばりだけで、今回の好決算要因は説明できない。本来なら、営業利益は前期比実質横ばいだった可能性がある。そうならなかったのは、1つの仕掛けがあったからだ」と、次のように説明する。

 楽天は昨年3月、無料通話アプリ大手のバイバー・メディア(キプロス)を約920億円で買収した。その「のれん代」(買収額と買収先企業の時価評価純資産額との差額)は約900億円に上り、本来なら今決算で少なくても20億円程度ののれん償却負担が発生し、その分、営業利益を押し下げ、今決算の営業利益は711億円程度で前年同期比微増か微減に終わるところだったという。

 にもかかわらず好業績となったのは、13年第1四半期から実施した国際会計基準への移行だった。日本会計基準ではのれん代を20年以内に均等償却しなければならないが、国際会計基準では償却が不要。同アナリストは「今回の好決算は、この恩恵によるもの。決して手放しで褒められたものではない」と語り、さらに同社が加速している海外M&Aへの懸念も指摘する。

●積極的な海外M&Aで高まるリスク


 楽天が決算を国際会計基準に変えた理由は「海外展開を加速しており、世界のライバル企業と業績を比較しやすくするため」(同社公式発表)だった。そして同社は昨年、2件の海外大型買収を行った。1件目は前述のバイバー・メディア。2件目は10月、楽天としては過去最高額の1047億円で買収したイーベイツ(米国)だ。

 イーベイツは、1000万人以上の登録会員を抱える、全米最大のネット通販サイト運営会社。ネット通販大手のアマゾンやイーベイのほか、百貨店、旅行代理店など2600社以上の流通関連事業者と業務提携している。