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セブン&アイ鈴木会長、世襲への布石か 「結果を出せない」次男抜擢、社内から異論続出

文=編集部

セブン&アイ鈴木会長、世襲への布石か 「結果を出せない」次男抜擢、社内から異論続出の画像1イトーヨーカドーの店舗(「Wikipedia」より/ITA-ATU)
 2014年12月16日、「日経ビジネス 徹底予測フォーラム2015」(主催・日経ビジネス、協賛・ボストン コンサルティング グループ)が、東京・港区のラフォーレミュージアム六本木で開催された。登壇したのは、セブン&アイ・ネットメディア代表取締役社長でセブン&アイ・ホールディングス(HD)執行役員の鈴木康弘氏。「流通の神様」ことセブン&アイHDの鈴木敏文会長兼最高経営責任者(CEO)の次男である。

 これに先立つ同月2日、セブン&アイHDは最高情報責任者(CIO)を新設して康弘氏を充てる組織改革を実施した。15年秋にリアルとインターネットの融合であるオムニチャネル戦略を本格的にスタートさせるため、システム関連を含めた幅広い領域で康弘氏が陣頭指揮する態勢を整えた。セブン&アイ・ネットメディアは14年3月、セブンネットショッピングを吸収合併し、セブン&アイグループのオムニチャネル戦略を推進するための中心的な役割を担う会社と位置づけられた。これに併せて社長に就いたのが康弘氏だった。康弘氏は同フォーラムのパネルディスカッション「マーケティングの新潮流」に登壇し、ネットと連携した新しい消費体験としてのオムニチャネル戦略について語った。

 コンビニエンスストアチェーンの草分け的存在であるセブン-イレブン・ジャパンは13年11月18日、東京都内のホテルで創業40周年記念式典を挙行し、その中で敏文氏は「ネットを制するものがリアルを制する」との持論を披露した。グループの商品をネットで受注し、近くのコンビニ店舗で顧客に渡したり、顧客の自宅へ配達する。具体的には、コンビニのセブン-イレブンからスーパーのイトーヨーカ堂、百貨店のそごう・西武までグループ全社で扱う約300万の商品をネットで買えるようにする。ネットを通じた商品やサービスの売り上げを現在の1500億円から7倍の1兆円規模に引き上げるという計画を立てている。

 セブン&アイHDが「次の10年」の成長の原動力とみているのが、オムニチャネル戦略である。オムニとは「総合、全体」などの意味であり、オムニチャネルとは、いつでもどこにでも選択可能なチャネルが存在する状態を指す。スマートフォン(スマホ)の登場によって、消費者は自宅でも移動中でもリアル店舗とネットショップの違いを意識することなく、購買できるようになった。消費者がネットとリアルを行き来する購買行動に、小売業は即応しなければならなくなった。そのためのツール(道具)がオムニチャネルだ。ネットとリアル店舗が融合することで日々蓄積されていく膨大なデータと外部のデータを統合させ、ビッグデータを活用する。セブン&アイHDはこのオムニチャネルに1000億円を投資する。

●経営不振の責任を問われなかった康弘氏

 グループのオムニチャネル事業を担う康弘氏は、1987年に武蔵工業大学(現・東京都市大学)工学部電気工学科卒業後、富士通に入社。その後、ソフトバンクに転職しEC(電子商取引)事業の立ち上げに携わった。99年8月、ソフトバンク、セブン-イレブン、トーハン、ヤフーの合弁会社として設立された、ネット上で書籍を販売する会社イー・ショッピング・ブックスの社長に就任した。同社はソフトバンクからヤフーを経て、09年12月にセブン&アイのグループ会社となり、社名をセブンネットショッピングに変更した。中間持ち株会社セブン&アイ・ネットメディアが親会社で、セブン&アイHDの孫会社にあたる。

BusinessJournal編集部

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