日本共産党委員長の志位和夫氏が昨年5月21日、ツイッターで「アベノミクスの株高で一番儲けたのは、ユニクロ柳井会長一家」とつぶやき話題になったが、確かにアベノミクスの株高と円安の相乗効果で保有資産は大きく膨らんだ。「フォーブス」のランキングでは12年の柳井氏の推定資産は100億ドル(1ドル80円換算で約8000億円)なので、保有する株数にほとんど変わりがないのに、資産は2年間にドル建てで1.8倍弱、円換算で2.2倍に膨張した。
では、大富豪になった柳井ファミリーは、どれくらいの株式資産を持っているのか。
柳井正氏と、長男の一海氏、次男の康治氏、資産管理会社である有限会社Fight&Stepと有限会社MASTERMIND名義の株式数は合計で409万800株(8月31日現在)。株高は一段と進行しており、11月14日には過去10年間でファストリとして最高値となる4万4730円をつけた。史上最高値は00年の5万6000円である。4万4000円超の株価で計算すると、現在のファストリの時価総額は1兆8298億円になる。信託銀行3行名義の分を合わせると2兆円を軽く突破する。
ファストリの14年8月期の年間配当は、1株当たり300円。柳井ファミリーが受け取った配当金は122億7240万円。柳井氏の役員報酬2億4000万円が、まったく小さく見える。
●高まる長男への世襲観測
そんな柳井氏は昨年10月10日に開いた13年8月期の決算発表の席上、「残念ながら社長を継続しなければならない。今はグローバル化を進めている真っ最中で、社長を退くことは不可能だ」と続投を表明した。以前から「65歳になる14年2月までに社長を退き、会長に専念する」と公言していたが、一転してこれを撤回した。だが、柳井氏の引退宣言を信じている業界関係者はほとんどいなかったため、当然のことのように受け止められた。