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山本一郎「煽ったり煽られたりするのが苦手です。」(1月11日)

津田大介先生の沈黙 ネット上で落選運動の標的“嫌われ者”樋渡啓祐さんに取り込まれた?

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樋渡啓祐氏のFacebookページより
 山本一郎です。煽ったり煽られたりするのが苦手です。

 ところで、昨年12月の衆院選のデータを整理しているうちに、だんだん有権者が何を考えてきたのか、その全容がわかり始めてきました。ここ数年の流れとして、あれほど解禁だ革命だと騒がれた「インターネット選挙」の影響がさほど芳しいものではなく、浸透にも時間がかかっていることがわかってきています。

 もちろん、20年など長い時間をかければ、ネットで候補者が情報発信するのは当たり前になるでしょうし、ネット選挙がもっと一般的で身近なものになるのは間違いありません。ただ、現状では騒がれたほど投票行動への影響は見られず、むしろ消極的選択を有権者が行うに当たって参考にするという副次的な要素にとどまっているように思います。

 良くも悪くも日本の有権者のリテラシーは「個人が興味を持って調べて自分で判断する」よりも、「いろんな人の意見を聞き、自分だけでなく家族や勤め先、地域の利害も考えながら総合的に考えて行動する」やり方に重きが置かれているようです。それは、各種パネル調査で各政党に関する質問における「投票意向」の数字を追っていくとわかります。投票性向の高い人に対して例えば自民党に対する評価を聞くと、「自民党に投票しない」という立場をとっている人はどの調査でも概ね「両親がこの政党を嫌っている」が32~39%、「両親以外の家族でこの政党を嫌っている者がいる」が25~31%、「この政党の代表や重要人物の中に、個人的に嫌いな政治家がいる」が23~27%くらいのレンジで収まっています。平たい話が、「自分が嫌いな政党である」から自民党に投票しない人は、その半数以上が自分の家族や職場、地域などとの話し合いにおいて自民党への評価が低いということを意味するわけです。

 細かく争点別に見ていくと、本日(11日)投票が行われた佐賀県知事選においては「農協に対する対応」「経済対策・雇用」「介護や年金問題」といった身近な問題が争点の上位に入っており、また比較的関心の高い選挙になっています。一見保守分裂に見えますが、国政選挙と違って「態度が未決」とされる投票性向の強い有権者が2割ちょっとしかいなかったのです。つまり、投票する意思のある佐賀県民の75%はすでに投票先を決めていたか、すでに期日前投票を行っていたことを意味し、選挙期間中のネット選挙といわれるものは自己の投票態度の確認や新たな政策発表のチェックぐらいにしか活用されていなかったということでもあります。争点が明確であればあるほど、有権者の態度は早い段階から決まっていたといえるでしょう。

●問われる「動員の革命」の是非


 そして、今回の佐賀県知事選においては、ネット住民のヒール的存在である我らが樋渡啓祐さんが出馬されていました。樋渡さんが自民党本部からの推薦を受ける一方、佐賀県連が自前候補として元総務省過疎対策室長・山口祥義さんを擁立して激しく争っていました。その樋渡さん出馬の経緯について、筆者はすでに以下の記事でも論じました。