たとえ「一発屋」と揶揄されても、毎年それなりの額が懐に入ることは有名な話だ。1993年に220万枚を売り上げたTHE虎舞竜のCD『ロード』(トライエム)はインディーズレーベルからの発売だったため、作詞作曲を手がけた同バンドのボーカル・高橋ジョージは、「1年後に約22億円もの印税収入があった」とテレビ番組で告白している。いまだに、高橋のもとには年間1200万円程度の印税が入るという。
このように、ヒット曲を生み出した作詞者や作曲者が億万長者になるのは有名な話だ。一方で、詞も曲も作らないアイドルは印税をもらえないのだろうか? 音楽関係者が話す。
「何十年前の曲でも、放送使用やCD売り上げがあれば、歌唱印税は入ってきます。最近は、当時の曲をまとめてベスト盤として再発売するケースもありますから、そのような場合も印税が入ります。ただし、かなりパーセンテージは低く、特にグループであれば、1人に支払われる印税額は1枚当たり1円に満たないケースも多々あります。例えば1枚50銭と仮定すると、1万枚売れた場合でも5000円にしかなりません。10万枚でも5万円です」
カラオケ印税が、歌手本人に支払われるのかどうかも気になるところだ。
「当然ながら契約によりますが、これには一定の傾向があります。80年代まではカラオケという文化が広まっていなかったため、カラオケブーム到来前に引退や解散をしている歌手は、カラオケ印税の契約を結んでいないケースが多く、いくらカラオケで歌われても印税は入りません。もちろん、作詞者と作曲者には入ります」(同)
80年代は、カラオケボックスが普及しておらず、せいぜいスナックなどにレーザーディスクを使ったカラオケシステムが設置されていただけで、カラオケ自体、まだ一般的ではなかった。
「92年に通信カラオケが誕生し、カラオケが普及しました。従って、それ以降にデビューした歌手は、各々の契約にもよって条件は異なりますが、一般的にはカラオケ印税が入る仕組みになっています。80年代以前にデビューした歌手でも、92年前後にも活躍していれば、カラオケ印税が入る契約を新たに結んでいるはずです」(同)
以前と比べてカラオケ利用者が減少しているといわれるが、それでも2013年度のカラオケユーザー市場の規模は約6114億円に上る(『カラオケ白書2014』より)。
若いころ、よくわからないままに契約を交わしたことを、後悔している元アイドルもいるだろう。
(文=編集部)