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不可解な農地政策 農地バンクに“使わない”巨額税金投入、農地利用拡大は進まず

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農地バンクを管轄する農林水産省(「Wikipedia」より/Keramahani)
 2014年4月に消費税が5%から8%に引き上げられた影響もあると思われるが、「アベノミクス」のおかげで14年度の一般会計税収は51兆円に達する見込みだ。しかし、日本の財政は決して楽観できない状況にある。

 例えば、普通国債残高は年々増加し、14年度末で780兆円。税収の16年分に相当する。まともな神経であれば、多少収入が増えたからといって散財をすることはないだろう。ところが、「目玉政策」という美名の下で、とんでもない無駄遣いが発生している。それが「農地バンク」をめぐる補助金だ。

 農地バンクの正式名称は「農地中間管理機構」で、14年3月に「農地中間管理事業の推進に関する法律」が施行され、11月までに各都道府県で創設されている。現在、日本の農地問題は深刻で、農地利用は約50%にすぎないが、それを今後10年間で80%まで高めるのが目的である。

 その仕組みは、以下のようなものである。農地の所有者から農地バンクが借り入れ、農地を借りたい人に貸し付ける。貸主と農地バンクにはそれぞれ、国から「機構集積協力金」と「農地中間管理機構事業」の予算がつく。その金額は「機構集積協力金」として13年度補正予算で153億円、14年度当初予算で100億円の計253億円が積み上げられた。農地バンク向けの「農地中間管理機構事業」には、13年度補正予算で137億円、14年度当初予算では177億円で、計314億円が積み上げられている。

 ところが昨年12月末現在、農地を借りたい人の借受希望面積23万haに対して、農地所有者から農地バンクへの貸付面積は4470haで、希望面積の1.9%にすぎない。予算については、14年度補正予算までの253億円のうち16億円しか消化されておらず、その割合は6.4%だ。

 それにもかかわらず、「機構集積協力金」について今年2月3日、14年度補正予算としてさらに200億円が計上された。執行率は3.5%に半減している。このような箇所付けは適切なのだろうか。2月4日の衆議院予算委員会で、民主党の玉木雄一郎議員が巨額の計上について質問しているが、麻生太郎財務相は、「14年度当初予算では14万haを計上し、同年度補正予算では23万haとの差の9万ha分として計上した」と答弁した。要するに、当初予算成立以降に借り手側が9万ha分増えたので、それを補正予算で計上したということだ。

 これはおかしい。本制度は農地の貸し手と農地バンクにのみ補助金を拠出するものである。なぜ、借り手側の事情を斟酌して予算を計上する必要があるのだろうか。

 財政法第29条は、補正予算を計上できる場合を「法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出(中略)又は債務の負担を行なうため必要な予算の追加を行なう場合」(原文ママ)に限定している。法律は、必要のないところに予算を追加することを許していないのだ。

 しかし、15年度当初予算では「機構集積協力金」90億円、「農地中間管理機構事業」72億円が計上されている。前年度補正予算までの巨額が積み残された上に、さらに積み増しが行われるわけだ。

 玉木氏は「農地中間管理機構事業は進めるべき制度である。しかし、それに投じる予算は国民から徴収した大事な税金なのだから、きちんと調査した上で予算を計上すべき。余った予算は国庫に返すのが相当だ」と述べている。果たして農地バンクは日本の農業の再生の鍵となるのか。行く末に注目したい。
(文=安積明子/ジャーナリスト)