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町田徹「見たくない日本的現実」

三菱UFJ、逆風下でも利益1兆円の謎 果敢な巨大金融複合化、国内銀行業以外で稼ぐ

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三菱東京UFJ銀行の店舗(「Wikipedia」より/っ)
 メガバンクが我が世の春を謳歌している。

 今月出揃った上場企業全体の2014年度決算の動向をみると、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)、三井住友FG、みずほFGの3社がそろって最終利益で上位5傑入りという快挙を果たした。中でも、トヨタ自動車に次ぐ第2位の座を確保した三菱UFJ FGの強さが際立っている。歴史的な低金利という銀行経営にとっては強い逆風下であり、経営危機にあるシャープに対する巨額の金融支援というハンディキャップを背負っていたにもかかわらず、2年連続の増益を確保し、邦銀として初の最終利益1兆円を叩き出したのだ。

 バブル期以前ならば、分厚い参入障壁に守られた規制産業ならではの荒稼ぎとの批判が出ても不思議のない状況だ。その強さの秘密を探ってみよう。

逆ざやとシャープ経営危機


「下期も金利低下を伴う利ざやの縮小を想定する必要がある」――。

 空前の決算発表のわずか半年前に当たる14年9月中間決算発表の席で、三菱UFJ FGの平野信行社長は慎重にこう述べた。二度にわたる日本銀行の異次元緩和によって国内長期金利が歴史的な水準に低下する中で、「資金運用利回り」から「資金調達原価」を引いた「総資金利ざや」がマイナス0.07%と逆ざやに転落したからだ。そして、平野社長の懸念は的中した。通期でも、「総資金利ざや」はマイナス0.06%と逆ざやがほとんど解消されなかったのだ。利ざやで稼ぐ銀行にとっては、死活問題である。

 加えて、三菱UFJ FGは、14年度決算で他のメガバンクを上回る大きなハンディキャップを背負っていた。リーマンショック後、急速に貸し込んできたシャープの経営危機再燃である。今年2月、業績の下方修正が伝えられたのを発端に、事態は坂道を転げ落ちるように悪化の一途をたどった。最終的にシャープは、14年度決算で2223億円という巨額の最終赤字に転落したのだ。

 三菱UFJ FG傘下の三菱東京UFJ銀行は14年度末時点で、シャープに対して3800億円の融資をしていた。これはライバルみずほ銀行の3600億円を上回る水準だ。加えて、15年度に入ってから三菱UFJ銀行は、1000億円分のシャープの優先株を引き受ける金融支援に応じざるを得なくなった。

 14年度決算を見ても、三菱UFJ銀行の資料には、シャープ危機の傷跡がくっきりと刻まれている。将来の貸し倒れに備える「一般貸倒引当金」や「個別貸倒引当金」の繰り入れ、すでに不良債権化した「貸出金」の償却などを含む「与信関係費用」が707億1200万円と急膨張したのだ。グループの連結を見ても、「与信関係費用」は1164億9300万円と膨れ上がった。経営が好転して貸倒引当金の戻し入れが多かった13年度と比較すると、差し引きで1517億9500万円の利益圧縮要因だった。