いずれにせよ、こうした逆風とハンディキャップにもかかわらず、三菱UFJ FGは14年度に連結業務粗利益で4兆2290億円(前期比4775億円増)、連結業務純益で1兆6449億円(同1808億円増)、最終利益で1兆337億円(同489億円増)の収益を稼ぎ出した。最終利益は上場企業トップのトヨタ自動車のそれ(2兆1733億円)には及ばないものの、上場企業全体で第2位という巨額の利益である。
ライバル行と比べても、全体で3位の三井住友FGの7536億円、同5位のみずほFGの 6119億円を抑えて銀行業界トップの座を守った。加えて、ライバルの2行が前期比では減益決算だったのに対し、三菱UFJ FGは2期連続の最終増益だった。
金融コングロマリット化の成果
では、その最終増益の原動力はどこにあるのだろうか。
興味深いことに、それぞれの主力銀行の損益計算書に着目すると、三菱UFJ銀行の業績は、三菱UFJ FG連結ほど傑出していない。というのは、三菱UFJ銀行の最終利益は5717億7800万円と、三井住友銀行の6430億1500万円を下回っているのだ。ところが、グループの連結となると、三菱UFJ FGは三井住友FGを上回り、その差が2800億円以上に達する。このことから、三菱UFJ FGは、三井住友FGと違い、伝統的な国内の普通銀行業以外の金融サービスで幅広く稼いでいるものと推測される。
実際、三菱UFJ FGが公表した「2014年度決算ハイライト」の最終利益の内訳は、その推測の正しさを裏づけている。三井住友FGがネグリジブルとして内訳すら公表していない信託銀行部門(MUTB)で1407億円を稼ぎ出したのだ。加えて、証券部門では、三井住友FGのSMBC日興証券が650億円だったのに対し、三菱UFJ FGはモルガン・スタンレーで748億円を計上した。
極め付きが、海外の銀行子会社だ。米州MUFGホールディングスコーポレーションが892億円、今年1月に三菱東京UFJ銀行バンコック支店と統合したタイのアユタヤ銀行が382億円を儲けたのである。
これらは内外での銀行関連の規制緩和を受けて、すかさず資本を投入して、長年にわたって粘り強く業容の拡大に取り組んできたことの成果といってよいだろう。旧三菱、東京、三和、東海の4都市銀行に加えて、日本信託や国際証券を次々と統合し、金融コングロマリット化してきた成果ということもできる。ちなみに三菱UFJは、15年度の最終利益目標を9500億円とし、引き続き好調を維持できるとの見通しを示している。
ゆうちょ銀行超え目前
最後にもうひとつ、最終利益1兆円越えの原動力として挙げられるのが、資産の驚異的な伸びである。三菱UFJ FGの14年度末の預金残高は、前期末に比べて8兆6000億円、2年半前に比べて28兆3000億円も増えた。