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PTA全国協議会、下部組織が続々と脱退、不透明な会計…公開質問状に回答せず

文=Business Journal編集部
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日本PTA全国協議会
日本PTA全国協議会公式サイトより

 当サイト記事『PTA全国協議会、ずさん運営で赤字5千万円…キックバックや出張費2千万円も』において、日本PTA全国協議会(日P)がずさんな運営を行っていることが原因で、下部組織が続々と離反しているという現状について紹介した。Business Journal編集部は日P事務局に「5000万円の赤字など会計の不透明さが指摘されているが、公の場において説明される予定はないのか」などの問い合わせを行っていたが、このたび回答があったので紹介したい。

 日本PTA全国協議会(日P)は、日本全国のPTA(保護者と教職員による教育団体)の協議会組織で、「日本最大の社会教育関係団体」をうたう公益社団法人。原則として、各都道府県及び政令指定都市に設けられたPTA協議会(または連合会)を正会員とする。

 2022年度決算において、5000万円近い赤字が発覚。当時の会長が覚えのない決済印が押された発注書によって設備投資が発注されていたり、2000万円もの出張費が使われているといった不自然な出費が相次いで判明した。翌年の社員総会において会長は再選されたが、その1カ月後に同会長にパワーハラスメントがあったとして、理事会が解任。会長は解任を不服として記者会見を開き、パワハラは事実無根で、名誉毀損に該当しうるとの見解を発表するなど泥沼の争いを見せた。

 この不透明な会計や不可解な前会長の解任劇に対し、さいたま市PTA協議会は公開質問を行ったが、日Pは回答を拒否。

 こうした日Pの運営に対する不満から、さいたま市のほか東京、千葉市、千葉県も脱退を決定。さらに他の組織も日Pに対する不信感をあらわにしており、足元がおぼつかない状況になっている。

日Pの回答

 そこでBusiness Journal編集部は、以下の4点につき日Pに問い合わせを行った。その回答が届いたので、紹介したい。

(1)内閣府の立ち入り検査について、HPにて「定期的な検査であり、運営の違法性を前提とした調査ではない」との見解を発表していらっしゃいますが、前回の検査で指摘された内容が改善されていないことから、検査に入ったのではないでしょうか。今後、具体的に、どのように改善されるのでしょうか。

「今回の立入検査は、公益社団法人としての運営状況を確認するため、3年に一度行われる定期的な検査でございます。前回の検査での指摘事項も含め、内閣府からのご指摘を踏まえて、必要な改善策を早急に実施してまいります。本検査は、運営の違法性を前提としたものではございませんが、指摘事項があれば速やかに対応してまいります」

(2)5000万円の赤字など、会計の不透明さが指摘されていますが、それについて公の場において説明される予定はないのでしょうか。

「5000万円の赤字を含む会計状況につきましては、令和5年度の定時総会にてご報告いたしました。現時点での追加の説明を公の場で行う予定はございませんが、引き続き財務の透明性を高める努力を続け、必要に応じて今後の総会などで適切にご報告してまいります」

(3)前会長の解職など、運営の不透明さに対し、誠実な説明がないとして脱退が相次いでいるほか、会費の納入を保留する組織も出ていると報じられていますが、今後、調査・説明を行う予定はあるのでしょうか。

「運営の透明性を確保するため、これまでの経緯も含めた調査および説明の場を提供できるよう、第三者委員会や有識者会議の設立を目指して関係各所と協議を行っているところでございます。この委員会を通じて、適切なご説明を進めてまいります」

(4)さいたまPTA協議会からの公開質問状に対し、回答を拒否していますが、他の組織や全国のPTA関係者が説明を求めている内容だと思われます。これらを公の場において説明される予定はないのでしょうか。

「現時点では、公開質問状への回答を公の場で行う予定はございませんが、令和5年度および6年度の代表者会議において、各地方協議会の代表者には適宜ご説明を行っております」

 これらの回答を受け、全国のPTA組織はどのように判断するのだろうか。今後の動きを注視したい。

 また、以下にこれまでの経緯が詳細に記載された前回記事を再掲する。

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 日本全国のPTAの協議会組織である日本PTA全国協議会(日P)が、不透明な運営によって揺れている。不透明な出費などで2022年度には約5000万円の赤字を出し、2023年度には会長にパワハラがあったとして理事会が解任するなどの騒動があった。さらに2024年には、工事業者に水増し請求させた挙句にキックバックさせていたとして、元参与が背任容疑で逮捕されたほか、10月には違法行為があったなどとして内閣府が立ち入り調査ののちに行政指導を行っている。下部組織からも運営を疑問視する声が相次ぎ、脱退するなど日Pの存在意義すらも問われる事態となっている。

 日本PTA全国協議会(日P)は、日本全国のPTA(保護者と教職員による教育団体)の協議会組織で、「日本最大の社会教育関係団体」をうたう公益社団法人。原則として、各都道府県及び政令指定都市に設けられたPTA協議会(または連合会)を正会員とする。そのうち、東京都、千葉市、さいたま市のPTA団体が相次いで脱退したほか、千葉県も脱退を決定。さらに他の組織も日Pに対する不信感をあらわにしており、足元がおぼつかない状況になっている。

 日Pの運営に疑問符が付き始めたのは、2022年度決算において、5000万円近い赤字が発覚したことによる。当時の会長が覚えのない決済印が押された発注書によって設備投資が発注されていたり、2000万円もの出張費が使われているといった不自然な出費が相次いで判明。翌年の社員総会において会長は再選されたが、その1カ月後に同会長にパワーハラスメントがあったとして、理事会が解任。会長は解任を不服として記者会見を開き、パワハラは事実無根で、名誉毀損に該当しうるとの見解を発表するなど泥沼の争いを見せた。

 この不透明な会計や旧態依然とした運営体制への不満から、東京都小学校PTA協議会(現・東京都PTA協議会)は、2023年3月末をもって日Pを退会。これらの日Pのずさんな運営に対し、加盟団体であるさいたま市PTA協議会も6月から8月にかけて、3度にわたって公開質問を実施。前会長の不自然な解任の経緯、不明瞭な会計の詳細、事務局長が不在な理由などについて説明を求める内容だったが、日Pは実質的に回答を拒否し、それを受けて、さいたま市P協は脱退を表明。

 さらに2024年度に入ると、元参与が、工事代金を業者に水増し請求させ、さらに約1200万円のキックバックを受けていたとして、背任容疑で逮捕された。9月には内閣府公益認定等委員会が立ち入り検査を行い、事務局長空席状態や2023年度の決算や事業を承認する理事会の開催を規定の期間中に行わない法令違反などがあったとして、公益法人認定法に基づき行政指導を実施した。

今後も脱退が相次ぐ可能性

 関東のある自治体のPTA団体の関係者は、関東圏のPTA協議会は今後、さらに相次いで脱退する可能性があるとの見方を示す。

「あまりにもずさんな運営体制に業を煮やした各自治体のPTA団体が、日P執行部に相次いで疑問の声をあげました。しかし、現執行部はまともな回答はしませんでした。そのため、関東ブロックPTA協議会として情報開示請求を何度も行いましたが、それも拒否されたことから、関東ブロック協は現執行部の解任を求めましたが、執行部は『関東ブロック協が不当に騒ぎたて、日Pの正常な運営を乱している』などと主張し、完全に溝ができました。その後、関東ブロック協と執行部は協議の場を設けましたが、日P執行部が情報を隠そうとするような不誠実な対応を繰り返しています。そのため、関東のPTA組織の間では日Pに対する不満がくすぶっています。群馬や茨城などでも日Pとの関係を考える、との声があがっています」

 関東だけではなく、他の自治体でも日Pに対する不満の声は少なくない。脱退までは検討していなくても、日Pが不透明な会計について詳細な説明を行うまで会費の納入を留保すると表明している組織も続出している。

(文=Business Journal編集部)

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