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名門・成城学園初等学校、保護者と学校側が対立で紛糾「不服なら他校へ行けばいい」

文=Business Journal編集部
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写真は成城大学(「Wikipedia」より

 創設から100年以上の歴史を持ち、幼稚園から大学院までを擁する名門・成城学園。その小学校にあたる成城学園初等学校の保護者会で、ある教員の退職をめぐる理事長の対応に保護者たちが激怒する騒動が起きたと12日付「Smart FLASH」記事が報じている。「FLASH」によれば、保護者会で油井雄二理事長(3月末で退任)は保護者たちの発言に対し「一部の保護者の意見ですね」などと言い、会合が紛糾し、教員の退職撤回を望む署名に保護者などから400筆以上が集まるなど、保護者と学校サイドの対立が深まっているという。

 世界的指揮者の小澤征爾氏、小渕恵三元首相の次女で衆議院議員の小渕優子氏、俳優の三浦友和と山口百恵の次男で俳優の三浦貴大、俳優の高嶋政宏・政伸など、その出身者には政治家から芸能人、芸術家まで豪華な顔ぶれが並ぶ成城学園。言わずと知れた名門学校として、そのブランド力が子を持つ多くのセレブたちを引き寄せている。その校風について成城学園初等学校の在校生の保護者はいう。

「古き良き伝統のある学校で、他の名門校とは違い、肩苦しくなく、生徒と教員がフラットな関係性を築いている点が気に入っている」

 また、小学校受験塾関係者はいう。

「富裕層が多く住む高級住宅街・成城にあるという立地条件が大きなアドバンテージになってる。とにかく自由な校風が特徴で、何事も生徒たちが主体的に考え行動に移すという自立に重きを置く。初等学校は保護者が望めばいつでも教室で授業を観ることができ、保護者同士、そして保護者と担任教員の距離が近く風通しもよいので、イジメなどの問題が起こりにくいとして人気が高い。卒業生が我が子を通わせたがるため、二代・三代にわたって成城出身という家庭も珍しくない。学校名物の学園祭は初等学校から大学までが同期間に開催され、多くの保護者たちが出店などに参加して盛り上がるなど、保護者にとっても横のつながりができて楽しい思い出をつくれることも成城学園の魅力」

異例の署名活動

 そんな成城学園のブランドを傷つけかねない事態が進行している。前出「FLASH」記事によれば、あるクラス・X組の担任・A教員についてX組のある生徒の親が学校にクレームを入れ、さらに油井理事長と面談してX組の担任を交代させるように迫り、A教員は退職に追いやられたが、A教員を慕う保護者たちの間で反発が広がり、前述の保護者会でのやりとりや署名活動につながっているという。在校生の保護者はいう。

「このような話があったということは、他の保護者から伝え聞いた程度でしか知らない。もし事実だとしたら、理事長の態度は遺憾ではある。だが、私立学校である以上、学校側が黒と言えば黒で、白と言えば白でしかなく、学校側の対応に不服なら他校へ行けばいいのではとも感じる。

 気になるのは、クレームを入れた保護者がクレーマー扱いされているという風向きだ。学校側が取り合ってくれない場合は、医療機関を経由して抗議するのは正しい判断だと思う。パワハラやモラハラを受けた側が言ったもん勝ちのような風潮があるが、学校であれば教師による厳しい指導によって生徒がメンタルを崩し自殺する可能性もある。もし私がこの保護者の立場であれば、同じ行動を取ると思う。その結果、教員が交代したり退任したとしても、それが学校側が一人の生徒や保護者の話をきちんと聞いた上での結論であるのならば、他の生徒や保護者は成城学園の決定として受け入れるべきではないか。その決定が気に入らないのであれば、学園を去ればいいだけの話だ」

 今回の事案の背景について中学校教員は次のように推察する。

「学校にとって大事なお客様でもある保護者からクレームが入ったからといっても、通常、成城学園クラスの大きな学校法人の理事長本人が面会の場に出てくることはない。報道によれば、この保護者は成城学園の関係者であり、また学校関係者の間ではモンスターペアレントとして有名だったということなので、学校サイドによる特別扱いや日頃のこの保護者の言動に他の保護者たちが反発している面もあるのでは。

 私立・公立に関係なく、小学校・中学校の教員は日々の授業とその準備に加え、部活動の指導や各種行事の準備、PTAなどの保護者対応、各種報告書の作成など多忙を極めている。そのため現場では面倒なことは内々に済ませたいという動機が働きがちで、特にモンスターペアレント的な保護者を怒らせてさらに面倒な事態にハマることは避けたいがために、『わかりました』という姿勢を見せて穏便に済ませることを優先しがち。『ではきちんと調査しましょう』となれば余計な仕事が増えるし、大事になって収拾がつかなく恐れもあり、そうした『うるさい親』の要求をのんでしまいがち。『学校側は体罰事件を放置した』と騒がれれば風評が広がる懸念もあり、そうなれば成城学園のような大きな学校法人の場合、校長ら責任者は法人のなかで責任を問われることにもなる。そのため、学校側は教員に責任を負わせて幕引きを図ろうとしたのかもしれない。私立の学校では教員の雇用契約が数年おきの更新制になっているところが多く、どうしても教員の立場は弱くなる」

専門的なアプローチの介入が必要

 また、前出の小学校受験塾関係者はいう。

「他のいわゆる名門とされる私立の一貫校とは異なり、成城学園はその自由な校風も影響してか、あまり内部のドロドロとした話は伝わってこず、クリーンな印象が強い。それだけに、今回の報道は意外感があった。成城学園の場合、ブランド力というよりは教育方針や校風、学校そのものが好きで子を通わせている保護者が多いので、そうした輪を乱す一部のモンペや学校側の閉鎖的はやり方に、保護者たちから強い反発が生じているのでは。退職に追いやられた担任の先生を擁護する署名活動が保護者の間から起きるというのは、それだけ成城学園では担任教員と保護者の距離が近いということを物語っている」

 名古屋大学大学院教授(教育社会学)の内田良氏はいう。

「体罰、いじめなど、学校管理下における暴行やハラスメントをめぐって当事者間で争いが起きるとき、往々にして事実認定が不十分なままに争いがつづきます。とりわけ今回の記事のように児童のPTSDや教諭の進退にかかわる事態であればなおのこと、丁寧な事実認定が必要でしょう。今回の事案とは逆に、たとえば教師が生徒に暴言を吐いた際に、それを教師や学校側が認めず、子どもや保護者が引き下がることもあります。事実が曖昧なままだと、さまざまな憶測が飛び交うことにもなり、争いの当事者双方が不幸です。

 学校文化の一つに、学校で起きた争いごとは学校内で解決する、言い換えると、外部の専門家にたよらずに教育の力で解決するという考え方があります。しかしながら、授業を本職としてきた教員集団に争いごとの事実認定やその調停までを任せるのは難しいでしょう。事実認定から当事者間の調整まで、専門的なアプローチの介入が必要だと思います」

 この騒動に、在校生や保護者は何を思うのだろうか。

(文=Business Journal編集部、協力=内田良/名古屋大学大学院教授)

内田良/名古屋大学大学院教授

内田良/名古屋大学大学院教授

専門は教育社会学。博士(教育学)。学校の中で子どもや教師が出合うさまざまなリスクについて、調査研究ならびに啓発活動を行っている。著書に『学校ハラスメント』(朝日新書)、『ブラック部活動』(東洋館出版社)、『教育という病』(光文社新書)、『教師のブラック残業』(学陽書房、共編著)など。ヤフーオーサーアワード2015受賞。名古屋大学大学院教育発達科学研究科博士課程を単位取得満期退学。日本学術振興会・特別研究員(PD)、愛知教育大学・講師を経て、2011年度より現職。
内田良

Twitter:@RyoUchida_RIRIS

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