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小林敬幸「ビジネスのホント」

30年後、人工知能が人類を駆逐する?AIの進化で消える仕事と残る仕事

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「Thinkstock」より
人工知能(AI)」という言葉を耳にすると「一時、ブームになったけど、今はあまり聞かない」と思う人が多いだろう。筆者もその1人であり、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』で女優の薬師丸ひろ子を見て、懐かしく思った気持ちと似ている。

 しかし、実は今、AIが世界的に注目されている。ドイツが「第4次産業革命」、アメリカが「IoT(モノのインターネット)」を叫んでいるが、その中核技術の一つがAIだ。

 その一方でAIは、あまりの革新性の高さに恐れられてもいる。2045年には、AIが人類の知能を超えるシンギュラリティ(技術的特異点)を迎えるといわれており、論理物理学者のスティーヴン・ホーキング博士、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏、テスラモーターズのイーロン・マスクCEOなどが、「このままAIが進化すると、人類に悲劇をもたらす」と警告している。

「人類の危機」は言い過ぎにしても、銀行の融資担当者、会計事務所の事務員など、AIの発達で消えるといわれるホワイトカラーのリストも出回っている。AIの技術革新によって、ビジネスにどういう影響が出るのだろうか。

AIに訪れた、二度のブームと冬の時代


 AI研究は、過去に二度ほど世間の注目を浴びたが、その後は期待された成果が出ず、ブームは終焉した。1960年前後の第一次AIブームは、コンピュータに「推論」する力を与えたが、それだけではたいしたことができず、「AI冬の時代」となった。

『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』(小林敬幸/KADOKAWA/角川書店
 80年代の第二次ブームでは「知識」を与え、専門家のような判断を下せる「エキスパートシステム」が開発された。当時の通商産業省が約570億円をかけて「第五世代コンピュータ」の開発計画をリードしたが、思うように進まず、再び冬の時代が到来した。ちなみに、薬師丸ひろ子の主演映画『セーラー服と機関銃』(東映)は81年の公開だ。

 そして、現在の第三次ブームでは、コンピュータが自分で「概念」を獲得する機械学習ができるようになった。背景としては、第一次ブームで限界だった推論能力が、半導体の進歩で飛躍的に高まったこと、第二次ブームで限界だった知識の面で、インターネット上の大量かつ最新の情報を使えるようになったことが挙げられる。

 その成果が出始めたころ、12年にカナダのトロント大学が「ディープラーニング(深層学習)」によって、機械学習の効果を飛躍的に高めた。これが、50年に一度、あるいはそれ以上のイノベーションを起こしたが、同時にホーキング博士らに恐怖を覚えさせることになる。

 現在、脚光を浴びている最新のAIは、技術革新によって2つのことが可能になった。人がデータを供給したり、特定用途のアルゴリズムを教え込まなくても、自分だけで能力を高める「機械学習」と、物事の特徴を自分で抽出、重層的に把握して概念化する「深層学習」である。

 これは、幼児が短期間で爆発的に言語を覚えるのと似ている。幼児は、言葉を覚えて話し出す前に、さまざまなモノを触り、舐めたり、振ったりして遊んでいる。その時期に、柔らかい、固い、黄色い、赤いといったモノの特徴をつかみ、その特徴によって同種のモノと異なる種類のモノとの違いを理解している。つまり、すでに概念化ができているのだ。