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中国に取り込まれる伊藤忠 巨額投資に広がる“懸念” 薄氷の業界2位浮上

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伊藤忠商事 東京本社(「Wikipedia」より/Kakidai)
 伊藤忠は5月1日、2016年3月期から始まる3カ年の中期経営計画を発表した。同社は16年3月期純利益を過去最高の3300億円と予想しているが、18年3月期に純利益4000億円を目指す。出資する中国中信集団(CITIC)との提携を軸に、中国企業に日本のアパレルや食料品を売り込む方針を掲げた。

 16年3月期の連結最終利益予想は三菱商事が3600億円(前期比10.1%減)、三井物産が2400億円(同21.7%減)、そして伊藤忠が3300億円(同9.8%増)である。この予想通りにいけば伊藤忠は念願の業界2位へ浮上することになる。同社の配当政策は同期の50円(前期比4円増)から1年ごとに5円ずつ引き上げ、18年3月期は最低60円との目標を掲げた。三菱商事の配当が年70円(15年3月期)であり、16年3月期も60~70円の配当が見込まれている。三菱商事を強烈に意識した配当政策だ。

 一方、「伊藤忠に求められているのは増配より自社株買いだ。同社の中期経営計画と株式市場の期待にはズレがある」(市場筋)との声もある。三菱商事は1000億円の自社株買いを行う。2年連続の自社株買いで、1000億円規模は07年以来8年ぶりとなる。

 5月11日には、伊藤忠が業界2位へ躍進するとの報道を受け1558円の年初来高値をつけ、その後は連日、上場来高値を更新し続けた。5月26日には寄り付きの段階で伊藤忠が1721.5円。三井物産が1720円と瞬間的に伊藤忠の株価が逆転し、業界2位になった。その後は三井物産も買い直されて株価の序列は従来通りに戻ったが、両社の株価のデッドヒートは続くとみられている。

巨額投資のリスク


 伊藤忠商事と中国・上海市政府、タイの華人財閥チャロン・ポカパン(CP)グループは4月30日、インターネット通販事業で提携するための覚書に調印した。上海市内で30日午前、楊雄・上海市長や岡藤正広・伊藤忠社長、タニン・チャラワノンCP会長らが出席して調印式典を開いた。CPの中国事業「正大集団」の楊小平・副董事長は「1億人のユーザーを獲得し、1000億元(2兆円)の企業を目指す」と表明したが、事業計画は未定。この目標を達成できたとしても、中国ネット通販の市場シェアは3%、3位グループに入れるかどうかだ。

 伊藤忠は6000億円超の巨額資金を中国に投下するが、そこには大きなリスクも内在している。ネット通販「跨境通」を展開する上海跨境通国際貿易を買収し、新たな運営主体とするが、跨境通の会員数は現在わずか10万人だ。

「伊藤忠は、20年にこの新しい事業会社の上場を視野に入れ、600億円のうちの過半は出資することになるが、CPグループのCITICに資金面でどんどん取り込まれているのではないのか。巨額投資が先行し、回収に時間がかかることが懸念される」(外資系証券会社アナリスト)