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懸念だらけの日本郵政上場 恐らくうまくいかないと考えられるこれだけの材料

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日本郵政本社が所在する日本郵政ビル(「Wikipedia」より/Ons)
 持ち株会社の日本郵政と傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の3社は、11月4日に東京証券取引所第1部に上場する。9月10日に上場を承認し、11月4日を軸に上場日を調整している。初回売り出しで計1兆5000億円規模の資金を調達する超大型案件になる。「21世紀最大の新規上場案件」との呼び声さえある。

 現在、政府は日本郵政の全株式を保有しており、段階的に売り出しを進め、最終的には保有株式の割合を3分の1超まで引き下げる。政府は売却によって、東日本大震災の復興財源として4兆円を確保する方針。日本郵政は傘下の金融2社の全株式を保有しており、当面は保有割合を50%程度まで下げ、将来的にはすべて売却する方向だ。

 今回の上場における最大の懸念は、3社のガバナンス(企業統治)体制にあるとされている。東証は今年6月、コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)を導入した。ROE(自己資本利益率)の改善や、増配、自社株買いなどの株主還元策の拡充、独立社外取締役の複数選任や、綿密な中長期的な経営ビジョンなどが求められる。

「日本郵政グループは、金融庁・東証が求めているコーポレートガバナンス・コードの水準に達していないのではないか」(金融筋)

 確かに日本郵政は、社外取締役が過半数を占める取締役の体制は整えた。取締役18人のうち社外取締役が10人である。取締役兼代表執行役社長は西室泰三氏。東芝の社長、会長から東京証券取引所の会長に転じ、2013年に日本郵政社長に就いた。

 日本郵政は委員会設置会社だ。権力の中枢は役員の選任・解任を決める指名委員会にある。指名委員会は3人。委員長は三村明夫・新日鐵住金相談役名誉会長(日本商工会議所会頭)。委員は西室氏と御手洗冨士夫・キヤノン代表取締役会長兼社長CEO(元経団連会長)である。

 社外取締役には木村惠司・三菱地所取締役会長、八木柾・共同通信社監査役、渡文明・JXホールディングス名誉顧問、清野智・東日本旅客鉄道取締役会長、石原邦夫・東京海上日動火災保険相談役、犬伏泰夫・神戸製鋼所名誉顧問など、経団連OBが名を連ねている。財界の主流派挙げての支援体制といえる。

拒絶反応


 今回の上場の最大のポイントは、純粋持ち株会社である日本郵政とその完全子会社である金融2社が、同時上場を目指す「親子上場」という点だ。3社同時上場を強行するのは、株式の売却益をできるだけ多くしたいという政府の意向が背景にある。

「親会社だけの上場では、東日本大震災の復興財源を確保できない。しかし、利益相反を防ぐという観点から、親子上場は市場では歓迎されない。拒絶反応を示す投資家も少なくない」(市場筋)