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「停学処分」より軽い…東芝、特設注意市場銘柄指定でも不利益ゼロ?ビクともせず?

文=寺尾淳/ジャーナリスト
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「停学処分」より軽い…東芝、特設注意市場銘柄指定でも不利益ゼロ?ビクともせず? の画像1東芝の事業所(「Wikipedia」より/Waka77)
 9月14日、東京証券取引所は東芝の株式を15日付で「特設注意市場銘柄」に指定し、上場契約違約金9120万円を科した。東芝の15日の株価は前日比5.8円安で、4営業日続落した。

 不適切会計問題に揺れ、2015年3月期の本決算を9月7日になってようやく発表した東芝への処分については、特設注意市場銘柄の指定が「上場廃止に準じる措置」だと説明されているが、これは上場廃止を前提とした処分ではなく、上場廃止の可能性は今のところ薄い。

 最近の大企業の不祥事に対する東証の処分は、次のようになっている。

・西武鉄道…大株主の保有比率の虚偽記載
  監理銘柄(04年10月)
  →上場廃止、14年に西武ホールディングス上場

・カネボウ…債務超過状態の隠ぺい
  監理銘柄(04年10月)
  →上場廃止、法人格消滅

・三洋電機…過年度の決算訂正
  監理銘柄(07年12月)
  →解除(08年2月)
  →パナソニックの完全子会社化、上場廃止

オリンパス…過去の損失要因の隠ぺい
  監理銘柄(確認中、11年11月)
  →特設注意市場銘柄(12年11月)
  →解除(13年6月)、上場維持

・大王製紙…前会長が関連会社から巨額の不正融資
  監理銘柄(確認中、11年11月)
  →解除(11年12月)、上場維持

・東芝…営業利益の1700億円水増し
  特設注意市場銘柄(15年9月)→?

 なぜ、東証から処分を受けながら、西武鉄道とカネボウが「上場廃止」になり、オリンパスや大王製紙は結果的に「上場維持」になったのか。その分岐点は、上場廃止基準に抵触するかどうかにある。

特設注意市場銘柄とは?

 有価証券報告書を訂正すると、西武鉄道は大株主の保有比率が、カネボウは債務超過になる点が上場廃止基準に抵触していた。しかしオリンパスは債務超過ではなかった。東芝の15年3月期決算も債務超過ではない。ちなみに、西武鉄道も株主構成の問題はあっても黒字決算で債務超過ではなく、昨年、西武ホールディングスが事実上の再上場を果たしている。

 上場廃止基準には「有価証券報告書の虚偽記載」の項目があるが、東芝の場合、組織的に営業利益を水増しした不適切会計の問題は、金融商品取引法197条第1項で「犯罪」とされる虚偽記載とはまだ認定されておらず、クロかシロかはっきりしていない。

 不適切会計の中身も、たとえば経営陣と公認会計士がこぞって逮捕されたカネボウのように、架空売上の計上で債務超過を隠ぺいするなど嘘で固めた決算で上場基準をパスし、投資家をだましたほどの悪質さはない。また、これも上場廃止基準である監査法人の監査報告書の「不適正意見」もついていない。オリンパスの場合も、組織ぐるみではあるが全社的とはいえなかったとされている。

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