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過去、IHIが有価証券報告書の虚偽記載で08年2月に、オリンパスが12年1月に特設注意市場銘柄に指定されたが、IHIは1年3カ月、オリンパスは1年7カ月で指定を解除された。IHIなどは特設注意市場銘柄の前に「監理銘柄(審査中)」に指定されていたのだが、オリンパス同様、その経営はビクともしていない。
過去の処分歴を理由に「IHIやオリンパスの株は絶対買わない」と決めている投資家は、おそらくほとんどいないはず。海外での事業活動でも、官公庁の入札参加でも、資金調達でも、人材の採用でも、IHIやオリンパスにとって今、不利益はほとんどみられないはずだ。東芝も指定を解除されて数年経過すれば、おそらくそうなることだろう。
特設注意市場銘柄の指定で、致命的なダメージを受けることさえある中堅企業と、お仕置き程度のダメージしか受けない有名大企業。だとすると、投資家を欺いて株式市場の信頼を損ねる「モラルハザード」を防ぎ、有名大企業にコンプライアンス(遵法)意識を持たせる手だては、マスコミをはじめ世間でさんざん騒がれる社会的制裁でイメージが低下することしかないのだろうか。
(文=寺尾淳/ジャーナリスト)
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