9月3日、衆議院本会議で改正マイナンバー法が成立した。
マイナンバー制度は、国民全員に12桁の番号を割り振り、社会保障や納税に関する情報を一元的に管理する制度だ。ちなみに、マイナンバー法の正式名称は「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」。10月から国民への通知が始まり、来年1月から行政手続きでマイナンバーを活用することになる。
国民の個人情報を政府が管理することに対する反対意見も根強い。今年5月に発生した日本年金機構の個人情報流出事件で、国の管理体制に対する不安が増大した。そのため、今回の改正マイナンバー法では、マイナンバーと基礎年金との連結を見送った。
そもそも「マイナンバーとは何か」という国民に対する周知も不十分である。それ以前に、マイナンバーの厳重な管理義務が発生する企業の理解も進んでいない。
特定個人情報の取り扱いに注意!
そこで、経営者向けeラーニングスクール「ウィズダムスクール」で、マイナンバーの対策講座の講師を務める株式会社 スマイルワークス代表取締役社長で、一般社団法人クラウドサービス推進機構理事の坂本恒之氏に、マイナンバーについて知っておくべきことを聞いた。
–マイナンバー制度がいよいよ運用開始となりますが、坂本さんは「企業の理解が進んでいない」と指摘されています。特にどのようなことが理解されていないのでしょうか。
坂本恒之氏(以下、坂本) マイナンバー制度の告知は、遅ればせながら徐々に進んでいます。ただ、マイナンバー制度は、すべての事業者に対して「特定個人情報」の取り扱いに関するかなり厳格な管理を求めています。さらに、これまで個人情報保護ではなかった厳しい刑事罰(最大禁固4年、執行猶予なし)が規定されています。しかし、具体的な対応策がほとんど伝わっていないと感じています。
–禁固4年ですか。そんなに厳しいとは知りませんでした。私も会社の経営者ですが、まったくその理解はありませんでした。
坂本 それだけ政府がマイナンバーの保護を本気で重視する姿勢であるということでもありますが、一方でまだまだ企業側では具体的な対応策が見えていないように思います。マイナンバーは、一人でも役員・従業員がいれば対象となります。またパート、アルバイトなどの短期雇用者や、講師・デザイナーなど個人事業主への発注が多い会社でも、マイナンバーの管理義務が発生します。