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高橋篤史「経済禁忌録」

あのテレビCMでおなじみの法人で不祥事・トラブル続出 委任状捏造の疑いも

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 裁判所が結論に至った経過も特異だ。問題の裁判が提起されたのは昨年8月。委任状は原告名も住所もワープロ打ちされたもので、そこに原告の名字を表す三文判が2カ所に押されていた。裁判官はその体裁に疑問を感じたようだ。そこで同年11月中旬、原告が阿部代表らを代理人に選任したことを証明する公正証書を提出するよう命じた。すると、なぜか原告側は12月3日付で提訴を取り下げてしまったのである。普通ならそこで裁判はそのまま終わるはずだった。

 ところが、裁判官は疑問を一層深めたらしい。東京簡裁で係属中の新宿事務所が代理人となっている訴訟の委任状を職権により洗いざらい調べたのである。すると、委任状はどれも三文判を2カ所に押した同じ体裁をとっていた。しかも「鈴木」「市川」とたまたま名字を同じくする異なった原告の事件が2組・計5件あったところ、それら委任状を見比べると、2組ともまったく同じ印影の三文判が使われていたのである。ほかにも原告名が「吉谷」であるところ、「古谷」と誤った三文判が押されているものまで存在した。事ここに至り、裁判官は取り下げを認めず、異例の強い態度に及んだというわけである。

求められる説明責任


 新宿事務所代表の阿部氏は自らを「社長」と称する。事務所のホームページに電話番号を入力するだけですぐに過払い金の無料診断が電話で受けられるシステムを導入するなど、案件を大量に処理する態勢はビジネスに徹している感が強い。冒頭で触れたように集客の武器は大量の広告宣伝だ。テレビコマーシャルのほか、週刊誌風の新聞広告など、至る所で目にすることができる。

 2006年1月の最高裁判決をきっかけに膨れ上がった過払い金バブルでは、法律事務所MIRAIO、ITJ法律事務所、アディーレ法律事務所がかつては“御三家”といわれ、大きなシェアを占めていた。しかし、返還請求がピークを打ったと見たのか、10年頃を境にMIRAIOとITJは積極的な展開を手控え、B型肝炎の給付金請求訴訟など他分野に乗り換えていった。

 そんな中、急速に台頭したのが新宿事務所だ。1976年生まれの阿部代表は高校卒業後に海外を放浪、新聞配達などを転々とし、28歳で一念発起し司法書士試験に合格した。新宿事務所を設立したのは08年3月のことだ。法務大臣の認定を受けた司法書士は訴訟目的額が140万円までの代理業務を行うことができるが、案件の掘り起こしが徹底しているのだろう、新宿事務所は過払い金分野で急速にシェアを伸ばした。ある貸金業者によれば、件数ベースのシェアは約2割で、2番手のアディーレの1割を大きく上回る。今や従業員は650人を数え、14年度の年商は前年度から倍増の100億円に達したとされる。

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