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高井尚之が読み解く“人気商品”の舞台裏

コメダ、スタバを「超える」驚異的成長!過酷な秘密の特訓、社長自ら店員として労働

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コメダ珈琲店
「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画や著作も多数ある経済ジャーナリスト・経営コンサルタントの高井尚之氏が、経営側だけでなく、商品の製作現場レベルの視点を織り交ぜて人気商品の裏側を解説する。

 12月は忘年会やパーティーなどで外食が増える時期だ。待ち合わせや懇談時に大手カフェチェーンを利用する人も多いと思う。

 日本国内で最も店舗数が多いカフェは、スターバックスコーヒーの1152店(2015年11月末現在、業界関係者への取材を基に筆者が算出)で、次いでドトールコーヒーショップの1104店(同)だが、それに続く「国内3強」となったのは名古屋が本拠地のコメダ珈琲店だ。現在657店(同)にまで店舗数を伸ばし、近年は東京都心にも進出している。スタバとドトールがセルフサービスなのに対して、コメダは注文も飲食提供もスタッフが行うフルサービスなのが特徴だ。

「今年1月、池袋の西武百貨店前に出店したのを見た時は『とうとう池袋にも来たか』と思いました」(大手出版社の編集者)

「ウチも数年前から首都圏で郊外型チェーンを展開し始めたが、コメダさんは強いですよ」 (競合チェーン店の経営者)

 このような声を打ち合せや取材で耳にした。

 コメダに関しては、08年に創業家からファンド系に経営が移って以来、経営分析的な視点で取り上げる記事が目立つ。その視点も興味深いが、筆者は同社を世間の注目度が低かった時期から取材してきた。今回は知られざる横顔を含めて紹介したい。

コメダ珈琲店池袋西武前店
コメダ珈琲店板橋四葉店

個人喫茶店として創業、地道な店舗展開

 コメダは加藤太郎氏が、1968年に名古屋市内で個人喫茶店として創業した。店名の由来は同氏の生家が米屋だったが、太郎氏は跡を継がなかった。「父への尊敬の思いを店の名前に込めた」という。

 創業間もない70年から地元を中心にフランチャイズ(FC)展開してきたが、「喫茶王国」といわれる愛知県では、しばらく目立たず「街の喫茶店」ともいうべき存在だった。

 ただし、コンセプトは明確にしていた。特に77年からは、他店舗との差別化のため、(1)一戸建ての店舗に駐車場を完備、(2)年中無休で長時間営業、(3)コーヒーの味は均一にする、という3点を定めた。

 現在のコメダの象徴ともいえるログハウス風の建物や、黒地にオレンジ看板の色使い、モーニングサービスも構築されていった。

 首都圏に進出したのは03年だが、当初は都内大田区や横浜市郊外の店で地道に展開していた。ちなみに09年に拙著『日本カフェ興亡記』(日本経済新聞出版社)の上梓にあたって調べた店舗数は335店(FC店331店、直営店4店=同年3月末現在)と、現在のほぼ半分だった。

 太郎氏には息子もいるが後を継がせず、08年に国内系投資ファンドのアドバンテッジパートナーズに全株式を売却。その後に同ファンドらがアジア系のMBKパートナーズに全株を転売した。同氏退任後は3人の社長を経て、13年7月からは旧三和銀行出身で消費財メーカーや外食業の役員を歴任した臼井興胤氏が経営のかじ取りをしている。今でも加藤氏と直接会ってコメダイズムを学んでいるという臼井氏の横顔は、後で紹介しよう。

コメダのコーヒーとモーニングサービス