政府の悪口はほどほどにしないと…?
「中国の大学を出てから日本に留学しました。本当はアメリカの大学へ行きたかったけど、いろいろあって」
日本の大学を出てから、日本の金融系企業に就職。ニューヨークの現地法人への出向を経て米系の金融企業へと転職し、その後、アメリカの市民権を取得した。奥さんも中国人だが、やはり海外留学組だ。自宅は上海と、アメリカにもある。
Aさんは複数の企業を経営している現役の社長である。主力は金融系のシステム開発だ。
「取引に使う特別なシステムの開発ですね。日本とアメリカの企業に納入していますが、これは、もう10年以上やってます。そのほかに、中国企業の海外進出、海外企業の中国進出の両方のコンサルティング、不動産なんかもやってますよ」
そのAさんが、いま注目しているのが、中国におけるネットユーザーのソーシャル化である。
「中国の人口はオフィシャルには13億5000万人ほど、ネット人口が5億人ぐらい。これは、そのままパソコンの利用者です。ほかにケータイの利用者が合計9億人いますが、ここがこれからソーシャル化されていく母集団となるのです」
中国は国土が広く、貧富の差も大きい。したがって、インフラ投資をしてもコスト高になってしまったり、利用者が十分に見込めなかったりで、インターネット回線そのものが引かれていない、あるいは引いてもムダになる地域が多い。
「そんな場所でもケータイなら設備も簡単で済む。パソコンは中国でも高価なものですが、ケータイなら比較的安い。そこで、パソコンは持ってないけどケータイは持ってる、ネットはよく知らないけどケータイで電話はしている、という人がたくさんいる。そんな状況のなかに、ここ5年ぐらいの間でスマートフォンが入ってくる。またとないビジネスチャンスなんですよ」
中国のポータルやソーシャルサイトというと、百度や新浪微博、騰訊微博が知られている。このところ話題になることも多い中国版ミニブログだが、新浪微博が2億、騰訊微博は3億のユーザーを囲い込んでいるという。「金の盾」や「万里の長城システム」があるため、海外のソーシャルサイトを利用できないからこその独占だ。
「実際には、騰訊微博はあまり活動的ではなく、書き込みされる約90%は新浪微博だと言われています。また、新浪微博には企業や団体のアカウントも多く、純粋な一般のソーシャルメディアユーザーという意味では、中国全体で2億人ぐらいというのが我々の見方です」