
衣料品通販サイト「ゾゾタウン」を運営するZOZOは7月30日、2019年度第1四半期(4~6月期)決算を発表した。増収増益となるなど、一見すると好調のようだが、細部を見てみると、そうとは言い切れないことがわかる。成長の衰えが垣間見えるのだ。
同社が特に重視する指標の「商品取扱高」は伸びている。19年度第1四半期は792億円と、前年同期から12.5%増えた。だが、前年度(18年度)が19.4%増、前々年度(17年度)は27.6%増だったため、伸び率は鈍化していることがわかる。四半期ベースで見ても鈍化は明らかで、19年度第1四半期より低い伸び率となると、4年以上前となる14年度第4四半期(10.2%増)にまでさかのぼらなければならない。
19年度第1四半期の売上高は前年同期比6.2%増の281億円、営業利益は32.6%増の77億円だった。商品取扱高が増えたことや、前年度に無料で大量配布したゾゾスーツに関連するコストがなくなったことが影響した。
利益率も深刻だ。19年度第1四半期の商品取扱高に占める営業利益の割合は9.8%だった。プライベートブランド(PB)事業の失敗などで揺れた前年度の7.9%よりは高い。しかし、前々年度までは5年連続で10%以上となっていたため、10%下回ったのは憂慮すべき事態といえる。四半期ベースで見ても深刻さがわかる。前々年度までの5年間の20四半期のうち、10%を下回ったのはわずか2四半期だけだ。
直近1年以内に1回以上買い物をした人の数を表す「年間購入者数」が減少に転じたことも見逃せない。19年度第1四半期は812万1663人で、18年度第4四半期から約5000人減った。それまでは16四半期連続で増加していた。
一方で、ゾゾタウンの出店ショップ数が再び増加傾向に転じたことは吉報だろう。19年度第1四半期末は1297ショップと、18年度第4四半期末から52ショップ増えたのだ。
18年度第4四半期は、ゾゾタウンの有料会員向け割引サービス「ZOZO ARIGATO」において、ブランド価値の低下を嫌った出店ブランドが撤退したり、出品を一時見合わせたりする“ゾゾ離れ”が発生。出店ショップ数が10店純減する事態となった。だが、栁澤孝旨副社長は、7月30日に開かれた決算説明会で「商品出品を見合わせていたショップもARIGATOが終了してから販売を再開している」と話し、“ゾゾ離れ”が収束したことを強調している。これを機に、反転攻勢に打って出る構えだ。
同社は5月に、ゾゾタウンに出店するブランドの関係者らを招待し、同社の考えを説明する「ブランドカンファレンス」を開催した。これにより、出店ブランドとの関係強化を図った。ゾゾ離れの発端となったARIGATOでは、サービスの開始にあたり十分な説明がなかったことに対して批判の声が上がった。それとは対極的に、こうした協調的で説明を尽くそうとする姿勢が好感され、“ゾゾ離れ”の収束につながった面がありそうだ。