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建設業界、“復興バブル崩壊”か…被災地の工事減少で倒産増加、五輪バブル崩壊も

文=長井雄一朗/ライター
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東日本大震災の津波によって破壊された岩手県大船渡市の中心部(「Wikipedia」より)

 2011年の東日本大震災以後、被災地の建設投資は活況を呈していた。宮城県仙台市では建設関係者が飲み歩く姿が随所で見られるなど、復興が景気を刺激していたことは確かだ。同時に、人手不足で東京やほかの地域から建設職人が引き抜かれる動きも活発化した。

 しかし、東北地方全体が潤ったわけではなく、建設投資の増加は太平洋側に限定された。そして、いわば“復興特需”を謳歌していた建設業界の雲行きが怪しくなっている。

 19年4月には、福島第一原子力発電所事故による除染工事を請け負うなど、復興工事で実績を上げていた全建設事業協同組合が東京地方裁判所へ民事再生法の適用を申請した。東京商工リサーチの「2019年(1-12月)建設業倒産状況」によると、震災や自然災害の復旧・復興工事が一巡した東北の建設業の倒産件数は、18年の82件から19年は86件(前年比4.8%増)に増加した。

 東京商工リサーチ情報本部情報部の増田和史課長は「東日本大震災に伴う建設業の“復興バブル”は、すでに崩壊したと見ていいでしょう」と語る。

福島と宮城だけで50社が倒産

 被災当時、東北の建設業界は氷河期で休廃業・解散を選択する業者も多く、一人親方の建設職人は転職してコンビニエンスストアで働くケースもあったが、復興により需要が高まったことで、建設業に復帰した例も多いという。復旧・復興工事ではとにかく人手が必要な現場も多く、人手不足が続いたことで、建設職人の大移動が始まった。東京をはじめ、近隣の山形県や秋田県などからも職人が手配されたのだ。

 これは、悪くいえば引き抜きである。当時、被災地の専門工事会社の職長は、応援に来た山形の建設職人に対して「これだけ出すから、ここに留まってくれないか」と言って人材を獲得していたという。仕事が豊富で稼げるため、そのまま被災地に留まる建設職人も多かったようだ。また、そういった建設職人が飲み歩くことで被災地の繁華街が賑わうという副産物も生まれた。

「基本的に、福島第一原発事故による除染工事、高台移転工事、解体工事などは、それほど高い技術を要しない工事です。ただ、実施するには重機などを購入しなければならないため、会社としては負担が大きい。そのため、それらの工事を継続して受注することができれば問題ないのですが、工事の案件自体が減少すると、会社としては経営が行き詰まってしまうのです」(増田氏)

 東北の建設業者の倒産事例を見ると、土木工事、除染工事、解体工事、木造建築工事をメインにしている会社が多い。復興需要に伴い規模を拡大したが、需要のピークアウトによって倒産するケースが増えているようだ。また、負債10億円規模の大型倒産ではなく、中小規模の業者が多い。前述の全建設事業協同組合の負債総額は7億4636万円で、重機設備購入などに伴う借り入れが重荷になっていたという。

 金融業界では地方銀行の合併問題が本格化しており、建設業界内では「地銀の合併とともに、地方のゼネコンの合併問題も浮上するのでは」とささやかれているようだ。すでに、準大手の戸田建設が福島県に本社を置く佐藤工業を完全子会社化しており、今後はゼネコンの合従連衡が活発化することが予想される。

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