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ライザップ、入会者94%減で経営危機…瀬戸社長“赤字なら辞任”の約束を反故、信頼低下

文=編集部
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ライザップのロゴ

 経営再建中のトレーニングジム大手RIZAPグループの2020年3月期連結決算(国際会計基準)の最終損益は、60億円の赤字(19年同期は194億円の赤字)だった。従来予想(5億円の黒字)から一転、赤字に転落。不採算事業の見直しで業績が持ち直してきた矢先に、新型コロナウイルスが直撃し、2年連続の赤字に陥った。

 売上高に当たる売上収益は前期比3.8%減の2029億円。計画から220億円下振れした。営業損益は7億5200万円の赤字(前期は83億円の赤字)。4~12月累計の営業利益は43億円で、当初の通期予想の32億円を上回っていた。しかし、第4四半期(20年1~3月期)を含めたトータルの営業損益は一転して7億円の赤字。第4四半期に50億円の赤字が出たことになる。20年3月期の年間配当はゼロ。形ばかりの復配だったが、年1円の配当を予定していた。しかし、連続して無配となった。

瀬戸健社長、「黒字にならなかったら、この場にいない」と株主総会で宣言

 瀬戸社長は19年6月の株主総会で、「今期(20年3月期)の赤字は絶対にありえないという自信と確信を持っている。黒字にならなかったら、この場にいない」と言い切った。そのコミットメントを、あっさりと破った。瀬戸氏はウェブ上の決算説明会で「創業者として、こうした時期だからこそ覚悟を決めて、しっかり乗り越え、強い会社として生まれ変わって成長していく」と語った。“終身社長”としてM&A(合併・買収)を追い求めるつもりなのだろうが、株主総会という、企業にとってもっとも重要な公式の場での発言は重い。公約違反のツケは株価ならびに今年の株主総会で回ってくる。

ジムの5月の入会者数は前年同月比94%減

 中核子会社RIZAP(ライザップ)が運営するスポーツジムの入会者数は年明けの1月は前年同月を8%上回っていた。だが、2月に名古屋市、岐阜県可児市、千葉県市川市のジムでクラスター(集団感染)が発生した。スポーツジムは3密(密閉・密集・密接)の典型的な業種だ。2月以降、入会者数が急減。2月は12%減、3月は57%減。緊急事態宣言が出た4月は89%減。5月にいたっては94%減まで落ち込んだ。

 次の営業の柱と考えていたゴルフスクールの会員数は1月は28%増、2月は21%増と伸びた。しかし、3月は25%減、4月は87%減、5月は95%減と激減した。ゴルフスクールは赤字が続いている。スポーツジムが壊滅的な落ち込みとなったため、収拾がつかなくなった。傘下のジーンズ専門店、ジーンズメイト(RIZAPグループが57%出資。東証1部)が消費税増税とコロナ禍のダブルパンチを受けた。訪日観光客の減少も痛手だった。CD販売のワンダーコーポレーション(75%出資。JQ上場)ではライブイベントの中止が響き、集客力が落ちた。

 5月中旬には、RIZAPグループ全体の店舗の7割が臨時休業に追い込まれた。20年3月期決算では稼げなくなった店の減損損失などで59億円の特別損失を計上した。2期連続の大幅赤字により、金銭消費貸借契約上の財務制限条項に抵触したが、「金融機関からは債務返済を請求しないとの承諾を得ている」(瀬戸社長)という。21年3月期の業績予想は「合理的な算定・予想ができない」として公表を見送った。

プロ経営者、松本氏の代わりに招いた中井戸氏からも三下り半

 瀬戸氏が積極的なM&Aを進めた結果、RIZAPグループ子会社群は一時期、80社を超えた。悲願としていた札証アンビシャスから東証1部上場への昇格を実現するため、18年6月、指南役として元カルビー会長兼CEOの松本晃氏を三顧の礼をもって取締役に迎えた。

 松本氏は、新規のM&Aを進めようとする瀬戸氏に待ったをかけ、18年に凍結。20~30代の女性をターゲットにした婦人服・服飾雑貨を企画・製造・販売するアパレルSPAの三鈴(東京・品川区)の身売りやフリーペーパーを発行するサンケイリビング新聞社(東京・千代田区)の一部事業の譲渡などにより黒字化を目指した。

 その松本氏はわずか1年でRIZAPグループを去った。松本氏と入れ替わるように、19年6月、中井戸信英氏と望月愛子氏が社外取締役に就いた。中井戸氏は住友商事で副社長を務めた後にシステム開発会社・CSK(現SCSK、住商情報システムがCSKを吸収、東証1部)で社長・会長を歴任した。望月氏は経営コンサルティング会社・経営共創基盤のマネージングディレクター。企業再建に関わってきた経験を持つ。ところが、この2人も今年3月、社外取締役を辞任した。1年をたたないうちに、三下り半を突き付けたのはなぜか。

「コロナ後の経営戦略をめぐって対立した」(関係者)と見られている。瀬戸社長は「コロナ危機を、成長戦略に転じる絶好のチャンス」と捉えたようだ。4月以降を「構造改革の最終段階」と位置付け、再び成長路線にカジを切るつもりだった。松本氏によって封印されたM&Aを再開させるということだろう。M&Aは瀬戸社長の経営の原点でありRIZAPグループに成長をもたらす源泉だ。こうした性急な方針転換に、2人の社外取締役が異議を唱えたようだ。

 松本氏、中井戸氏、望月氏。外部から招いた経営指南役は、いずれも短期間で辞めていった。ブレーキ役を失ったRIZAP号はどこへ向かうのか。ゾンビ企業を買収して「負ののれん代」を利益として計上して、利益をカサ上げする経営手法が、Withコロナの時代に通用するのか。RIZAPグループの迷走は続く。

BusinessJournal編集部

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