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垣田達哉「もうダマされない」

安倍政権がコロナ感染拡大させる「Go To」をやめない理由…予算を企業補償へ回すべきだ

文=垣田達哉/消費者問題研究所代表
安倍政権がコロナ感染拡大させる「Go To」をやめない理由…予算を企業補償へ回すべきだの画像1
サイト「Go To トラベル」より

 西村康稔経済再生担当相は7月29日の記者会見で、「Go To Eatキャンペーン」のうちプレミアム付き食事券は早ければ8月下旬から開始するが「オンライン飲食予約は状況を見てから判断する」と述べている。その理由は「食事券は地域内で食事をする」が「オンライン飲食予約は県をまたぐ移動につながっていく」からだという。

<食事券(給付金767億円)>

登録飲食店で使えるプレミアム付食事券(購入額の25%分を上乗せ)

・地域の飲食店で使える食事券(例:1セット1万2,500円を1万円で購入)の発行事業者を都道府県、政令指定都市及び特別区単位で公募

・購入制限:1回の購入当たり2万円分(上記の例では2セット/人まで)

・おつりは出ない

・販売は2021年1月末まで、有効期限は3月末まで

・スケジュール

7月21日~8月7日まで公募を行い、8月下旬に事業者と契約

食事券は、準備が整った地域から順次実施。食事券については、関心を示すものの準備が整わない地域に配慮し、予算の6割で1次公募を行う

<オンライン飲食予約(給付金767億円)>

オンライン飲食予約サイト経由で、期間中に飲食店を予約・来店した消費者に対し、次回以降に飲食店で使用できるポイントを付与

・昼食時間帯は500円分、夕食時間帯(15:00~)は1,000円分を付与

・ポイント付与の上限は、1回の予約当たり10人分(最大10,000円分のポイント)

・ポイント付与は2021年1月末まで、利用は3月末まで

・スケジュール

オンライン飲食予約によるポイント付与については、状況を踏まえて開始時期を検討

 そうであるなら、今実施している「Go To トラベル」こそ「県をまたぐキャンペーン」ではないか。しかも、オンライン飲食より、はるかに遠くの県に移動するだろう。これだけ評判の悪いGo To トラベルを、政府は頑なにやめようとしていないのは「何か裏がある。やめられない政治的な理由があるのではないか」とさえ勘繰りたくなる。今、旅行に行く人は「安くなるから行く」のではなく「どうしても行きたいから」だろう。キャンペーンをしなくても行きたい人は行く。

Go Toをやめて、その原資で補償を

 それよりも、西村大臣が言うように「国がキャンペーンをすることで、移動を煽ることになる」ことが問題なのだ。感染者の内訳がどうであれ、4月より7月のほうがはるかに多いことは事実である。ここまで拡大した以上は、国が再度、緊急事態宣言を出すしかないだろう。そこで問題となるのが、自粛とセットで行う補償の予算だ。その原資をGo To キャンペーン予算から回してはどうだろう。その補償は、再度の持続化給付金とする。

 キャンペーンの予算は、総額1兆6,794億円。持続化給付金は2兆3,176億円である。約7,000億円弱足りないが、再度の給付金は、例えば「中小企業の法人のみとする」とか「個人事業者は半分の50万円」とするといった方法であれば、キャンペーン費用で賄うことができる。

 緊急事態宣言も、東京都、大阪府、愛知県に絞っても効果は出るだろう。首都圏や関西圏、中京圏の人々は、東京、大阪、名古屋で緊急事態宣言が出て飲食店やカラオケ、キャバクラ等が休業すれば、地元で飲食するだろう。「他県に行って飲食をするな」という意味ではなく、大繁華街を持つ東京、大阪、名古屋さえ休業をすれば一定の効果は出てくるはずだ。

 そのためには休業補償をしなければならない。その原資をGo To キャンペーンから振り分けるのだ。それなら、国民も納得するだろう。キャンペーンは、政府が国民に約束した通り「収束してから、再度予算を計上し」実施すればよい。

 東京都は時短で20万円、大阪府と愛知県もそれぞれ補償金が出る。さらに、国から再度200万円が振り込まれれば、8月の1カ月間程度であれば、飲食店はなんとか持ちこたえることができるかもしれない。しかも、一度振り込まれた実績があるので、今度はすぐに振り込まれる。観光業や飲食店だけが影響を受けているわけではないので、全事業者を対象とするべきだ。しもちろん、緊急事態宣言をする都道府県以外の法人もすべて対象としなければならない。再度振り込むだけなので、前回ほどの費用は発生しないはずだ。当然「電通に丸投げ」は許されない。

 新たに発覚した8,000万枚のマスクを追加で国民に配布する計画もそうだが、今の政府の金の使い方は「あまりにも下手」だ。この緊急事態にお友達も政治的なしがらみもないだろう。政府には、普通の感覚を持っている人はいないのだろうか。

(文=垣田達哉/消費者問題研究所代表)

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

1953年岐阜市生まれ。77年慶應義塾大学商学部卒業。食品問題のプロフェッショナル。放射能汚染、中国食品、O157、鳥インフルエンザ問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍する。『ビートたけしのTVタックル』『世界一受けたい授業』『クローズアップ現代』など、テレビでもおなじみの食の安全の探求者。新刊『面白いほどよくわかる「食品表示」』(商業界)、『選ぶならこっち!』(WAVE出版)、『買ってはいけない4~7』(金曜日)など著書多数。

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