HIS、意地の経営…国内100店舗閉鎖でも人員削減せず、売上の8割を旅行以外へ転換の画像1
「HIS HP」より

 コロナ禍による旅行需要減少で逆風が続く旅行業界のなかでも、エイチ・アイ・エスHIS)は海外旅行が主体なだけに打撃は、より大きい。澤田秀雄代表取締役会長兼社長は「海外旅行がほぼゼロになった」と述べ、「海外旅行1本足打法」からの脱却を目指す。「新規事業を3年から5年で新しい柱に育てる」と攻めの姿勢を打ち出した。コロナ収束後の反攻を目指し、経営の多角化にかじを切る。

 社内で募った5000~6000に上るアイデアのなかから9~10事業を立ち上げる。従来から取り組んできた発電・電力供給事業に加えて、2020年に開業した「満天ノ秀そば」や旅館・ホテルの再生事業に着手した。「3から5、着実に利益が上がる事業に育てたい」としている。

 経営の多角化をテコに「将来は売上高に占める旅行の割合を9割から2割に下げる」(澤田氏)。旅行会社から“変身”を遂げる。21年11月、社名をH.I.S. HOLDINGSに変更することも決まっている。

上場来初の250億円の赤字

 格安航空券の草分けとして知られるHISは約40年間、黒字経営を続けてきたが、各国の出入国規制で海外旅行需要が蒸発し、お手挙げとなった。20年10月期連結決算は売上高が前期比46.8%減の4302億円、営業損益は311億円の赤字(前期は175億円の黒字)、最終損益は250億円の赤字(同122億円の黒字)。最終赤字は02年の上場以来初めて。年間配当(前期は33円)はゼロとした。海外旅行と海外旅行に関わる事業が売り上げの9割を占める。

 海外旅行の取扱高の推移はこうだ。コロナ前の19年11月~20年1月期は前年同期並みの874億円あったが、コロナ感染の広がりを受けて海外ツアーの多くを取りやめたため、20年2~4月期は61%減の427億円、5~7月期は99%減の11億円、8~10月期は9億円と釣瓶(つるべ)落としの状態となった。年間合計では67%減の1323億円に激減した。海外法人のインバウンド取扱高は40%減の1107億円。アウトバウンドは7%減の1119億円と、相対的に落ち込みは小さかった。

 国内旅行は移動自粛で売上高が54%減の281億円と低迷。政府の観光支援事業「Go To トラベル」の効果は限定的だった。大黒柱の海外旅行の取り扱いが壊滅状態になったため、旅行事業のそれは前期比50%減の3596億円と半減し、営業損益は211億円の赤字(前期は137億円の黒字)と水面下に沈んだ。

RANKING
  • 企業・業界
  • ビジネス
  • 総合