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松岡久蔵「空気を読んでる場合じゃない」~CAが危ない!ANAの正体(11)

ANA、子会社CAにPCR検査補助業務を強制、業務後にコロナ検査なしで国際線乗務

文=松岡久蔵/ジャーナリスト
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ANAのボーイング767-381(「Wikipedia」より)

 大型連休明けの5月7日以降、ANAホールディングス(HD)の完全子会社エアージャパン(AJ)社員が、成田空港国際線での新型コロナウイルスのPCR検査の補助業務を強制されていることが、わかった。5月から雇用調整助成金を受けないことを決めたANAHDが、国から受注した業務を十分な説明もないまま、グループ子会社に押し付けた格好。AJの現場CAなどからは「通常フライトで同乗したクルーや顧客に感染させる恐れもあり、非常に危険だ」と批判が起きている。

3月末にいきなり検査補助業務の受託決定を通知

 AJはANAHDが100%出資し、成田空港にベースを置く。ANAグループで成田=シンガポール、バンコク路線などアジア・リゾート路線を担う。

 AJ社員が、会社側から検査補助業務である「検疫業務」を国から受託したということを知らされたのは、ほんの1カ月半前の3月末だった。「検疫補助業務を受託することになりましたので、個人情報のデータを送ってください」との通達。業務内容は成田第一ターミナルで顧客が検疫でのPCR検査を受ける際の受付や誘導、必要書類の確認といった補助業務。会社側は1日あたり120人が必要といい、月に1人10日程度は業務としてシフトに入ってほしいという。

 従業員代表向けには2月末に一応「検討中」ということで前触れの連絡はあったものの、突然の決定に大部分の社員は衝撃を受けた。感染のリスクもある業務なだけに、「同居する家族への感染が不安だ」と伝えた社員もいたが「昨年11月から別の子会社でも同じ補助業務をしているが、今まで感染者が出たことはない」と何の根拠もない返答が返ってきただけで、どのような感染対策がとられているかなどの説明もなかった。

 4月から強制的に研修が始まったが、賃金が上乗せされるのかなど条件面の説明も当初はない拙速ぶりだった。業務開始直前の4月末に会社側から報酬が説明されたが、例えば9時~17時30分の7時間30分勤務では一日、1万2300円の手当。その他、早番、遅番、5時間勤務などあるが、時間帯は会社が決める上、感染リスクがあること考えれば割に合わない額だ。AJの管理職は一切業務に携わらず、現場CAは全員業務として参加を強制されるという。

検疫補助業務の不十分な感染対策、その直後にPCR検査なしで乗務

 この検疫補助業務の運用体制についても、現場から不安の声が上がっている。まず、会社側は「検疫補助業務に従事するCAについては、国が濃厚接触者に当たらないと指定したのでPCR検査はしない」と説明したという。外国からの旅客にコロナ陽性者が発生した場合でも、CAたちはPCR検査を受けることができないまま、CAとしてそのまま乗務することになり、乗客などに感染が拡大する懸念がある。

 さらに、会社側は「感染者はこれまでに出ていない」と安全性を強調するが、それも相当疑わしい。

「海外ステイ先ホテルでは、ホテルスタッフが私たちに、病院スタッフのようなガウンやヘッド防護カバー、シューズ防護カバー、という厳重な防護姿でソーシャルディスタンスも取った上で対応をしてくれますが、それでもスタッフにコロナ感染者が発生しています。

 また、海外の空港の検疫補助業務スタッフは病院スタッフのような厳重な防護で臨んでいますが、私たちはポロシャツにパンツのみ勤務日に受け取って着用しろと言われ、支給品もビニール手袋と機内サービス用貸与品防護メガネのみです。マスクや靴は自前で用意で必ず着用、フェイスシールドでさえ、使いたければ自前で用意しなければならず、これでは会社が従業員の安全保護義務を放棄しているとしか思えない」(現役CA)

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