周囲を海に囲まれた島国ということもあり、水産資源が豊かといわれる日本だが、昨今、国内産・海外産問わず、水産物の流通に関して芳しくない状況が続いている。2022年に水産庁が発表した「令和4年度 水産白書」をもとに日本の水産物に関する現状を見ていこう。海外では和食ブームや健康意識への高まりにより魚食が注目されており、一人当たりの食用魚介類の消費量は増加の一途をたどっている。特にアジア、オセアニア地域の伸びが顕著であり、過去50年で中国では約10倍、インドネシアでは約4倍に増加。一方の日本は、世界平均の約2倍の消費量となっているが、約50年前の水準を下回っている。
阪口功/学習院大学法学部教授