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「日本郵政に対し郵政ユニオンが厳正な処分を求めると、対応した本社広報の顔色が変わりました」(郵政ユニオン関係者)
問われる労働環境の改善
さいたま新都心事件以外にも、日本郵政は多数の裁判や労働争議を抱える。労働条件の整備と労使関係の安定は経営の基本だが、その基本に亀裂が入っているのだ。
6月25~27日に開かれた郵政ユニオンの大会では、休憩が取れない深夜勤務や、郵便局員が年賀はがき販売ノルマ達成のために自腹で大量に購入する「自爆」、苛烈なパワハラなどの実態が、代議員から次々に報告された。同じ仕事をしている正社員と期間雇用社員との間に大きな格差があるという問題についても、不合理な差別を禁じた労働契約法20条を根拠に、東京と大阪で裁判が進む。
グループで約19万6000人もの非正規労働者が働く日本郵政グループとあって、期間雇用社員らが勝訴すれば日本郵政の財務、ひいては「正しいプライシング」にも影響するはずだが、上場計画できちんと考慮されているとは聞かない。
6月26日、上場後の成長戦略が民間銀行・保険会社などの民業圧迫につながる懸念を問われた西室社長は、「成長をするための戦略をつくっているつもりはない。これから先、どうやったらベストのサービスができるかの戦略をつくっているので、成長だけを目的にしているつもりはない」と大見得をきった。
ならば、そのサービスを担う社員たちの労働環境の改善を考えてはどうか。また、ユニバーサルサービスと両立しない金融子会社同時上場のスキームを見直すべきではないのか。暗部を隠したまま利益目標必達で突っ走ることが会社の屋台骨を揺るがすピンチを招くことは、西室社長の古巣、東芝の不正会計事件の教訓でもある。
(文=北健一/ジャーナリスト)
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